猛暑の中、レールを点検する近鉄の作業員=8月、大阪府羽曳野市
 猛暑の中、レールを点検する近鉄の作業員=8月、大阪府羽曳野市

 異常な猛暑が続いた今夏、レールの温度上昇による鉄道の運転見合わせが相次いだ。安全運行のため、現場は点検に追われ、遠隔で監視できる機器の導入も進む。

 猛暑による線路の異常は各地で発生。JR西日本では今年5月から8月18日まで、レールの温度上昇に伴い計16回運転を見合わせた。

 鉄製のレールは熱で膨張するため、つなぎ目にはあらかじめ「遊間」と呼ばれる隙間が設けられている。暑さで埋まり、さらに高温になれば、逃げ場を失ったレール同士が押し合う形になり、最悪の場合はゆがんで脱線につながってしまう。

 近鉄の保線担当者は担当線区を2~3駅ごとに分け、半日間歩いて点検。レール温度が基準値以上になると、営業列車に乗り込み運転士の隣から目視で確認する「列車巡視」も加わる。特に温度が上がりやすいお盆期間までは、ほぼ毎日点検に追われた。

 近鉄は2022年以降、数カ所のレール温度を同時に測り、遠隔監視できるセンサーを一部線区に導入。担当者は「温度も線路の強度も場所によって異なるため、細かな判断に役立つ」と話す。