他の植物から水や養分を奪う寄生植物が、種類が近い“仲間”には寄生しない「自己回避」の仕組みを解明したと、奈良先端科学技術大学院大(奈良県生駒市)などのチームが23日付の米科学誌サイエンスに発表した。農作物への寄生による被害を減らせると期待される。
チームによると、寄生植物には他の植物から養分を吸収するための特殊な器官「吸器」があり、維管束に侵入して水と養分を奪う。農作物に寄生する雑草は、アフリカや欧州を中心に世界で年間10億ドルを超える被害を引き起こしているという。
寄生植物が自分自身や近縁の植物に寄生しないことは分かっていたが、仕組みは不明だった。今回チームは寄生植物コシオガマを解析。吸器の生成に影響を与える酵素や、寄生先の宿主シロイヌナズナを使って自己回避の仕組みを調べた。
吸器は植物の根などが分泌する物質に促され生成される。チームはこの分泌物質を含む植物中の代謝物と糖を結びつける特殊な酵素「UGT72B1」に着目。この酵素があると、糖と結びつくことにより分泌物質の働きが無効化されることが分かった。