判決後、記者会見する佐藤博史弁護士=11日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
 判決後、記者会見する佐藤博史弁護士=11日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

 千葉県市川市で女性に性的暴行を加えけがをさせたとして、強制性交致傷罪に問われた米国籍のクリストファー・ステイブン・ペイン被告(33)の控訴審判決で、東京高裁は11日、懲役8年の一審判決を破棄し、審理を千葉地裁に差し戻した。一審が有罪の根拠としたDNA型鑑定の評価について、審理が尽くされていないと判断した。

 家令和典裁判長は、鑑定で使用したデータを最新ソフトで解析すると、被害者や被告のものでないDNA型が検出され、鑑定人が削除した可能性があると指摘。一方で、別の鑑定ではこの型は検出されず、鑑定人の判断に誤りがなかった可能性もあるとし「科学的に信頼される方法で実施されたか検討する必要がある」とした。

 弁護側は、鑑定に編集された跡があるなどとして無罪を主張していた。判決後に記者会見した弁護人の佐藤博史弁護士は「裁判所に無罪と言い切る勇気がなかった」と批判し、上告する方針を示した。

 2024年7月の一審判決は、鑑定は「手法選択に不合理な点はなく、適切性に疑義はない」と判断。「被告が犯人と強く推認できる」とした。