1996年に東京都葛飾区の自宅で上智大4年小林順子さん=当時(21)=が殺害された事件は、9日で未解決のまま30年となった。父賢二さん(80)は殺人罪の公訴時効廃止を求める運動に奔走し、法改正につながった。「事件の解決が先か、自分の命が尽きるのが先か」。高齢となり、将来に不安を抱えながらも「犯人は逃げ切れない」と信じ、情報提供を呼びかけ続けている。

 画面越しの娘は記憶より大人びて見えた。約30年前に撮影された映像には、大学サークルで中学生に英語を教える順子さんの姿が写る。これまで避けてきたが、テレビ局に提供を依頼されたのを機に、初めて約80分間を通しで見返した。

 仲間にレンズを向けられ浮かべた笑顔、英語劇を披露する一生懸命な姿。自宅で母親に髪を結ってもらう「甘えん坊」だった一面と、全く違う顔を見た気がした。

 曲がったことが嫌いだった順子さん。将来はジャーナリストを目指し、事件2日後には米国留学も控えていた。「いろいろな可能性が開けつつあった」(賢二さん)。