シティポップの名曲「どうぞこのまま」で知られるシンガー・ソングライター丸山圭子のまな弟子、穴水佑輔がデビューアルバム「RESPECT」を完成させた。ラテン歌謡からボサノバテイストまで、Jポップの良き遺伝子を受け継ぐ、懐かしくて新しい8曲を収めた。「自分がインスピレーションを受けてきた昔の音楽に、自分なりのアイデアを加えていく。伝統と継承です」(取材・文 共同通信=森原龍介)
出身は広島市。幼い頃から踊ったり、ピアノを弾いたりするのが大好きで、小学校に入学する前から「Perfume」らを輩出したアクターズスクール広島に通った。
憧れはマイケル・ジャクソンや安室奈美恵、三浦大知ら歌って踊れるポップスター。ただ、ピアノも自分の音楽には欠かせない存在だった。「ピアノが手元にあると落ち着く。ピアノがあって歌があるんです」
歌いながら踊りつつ、ごく自然にピアノで弾き語りもするようになった。「アクターズスクールの先生から、歌いながら、弾きながら、踊るステージをやれと言われて、三つをセットにしてパフォーマンスをしていました」
高校を卒業して、洗足学園音楽大に進学し、ロック&ポップスコースで教えていた丸山と出会った。「コロナ禍の頃に丸山さんの音楽史の講義をオンラインで受講したんです。そこで『どうぞこのまま』の弾き語りを初めて聴きました。耳に残る曲はスッと入ってくる。一瞬で自分の五感が動いた」。丸山に師事すると決めた。
徹底して教わったのは、歌に自分の人生をどう乗せるか。「どういう気持ちで書いたのか? 自分がその曲で何を伝えたいのか? 理論とかじゃない、一番大切な部分を教わりました」
丸山へのリスペクトが結実したのがボサノバテイストの2曲目「宵待草」。穴水が「どうぞこのまま」を意識して書き上げたメロディーに、プロデューサーを務めた丸山が歌詞を付けた。「いいメロディーだったから、一日で歌詞が書けちゃいました」と丸山はほほえむ。
最近の丸山のライブにピアニストとして参加したことも、自身の創作に影響したと穴水は言う。「お客さんと歌とピアノが同じ方向を向いて、その場で共感や共鳴を生み出すことがどれほど大変か分かりましたし、でも何も考えずに自然に息が合った瞬間にこそ、心が震えるということも味わいました」
聴いている人の心に「寄り添うように演奏をしたい」と穴水は言う。丸山は「同じことを私もずっと考えていた。そんな若者はなかなかいないじゃないですか」と目を細めた。
























