高市早苗首相が、23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散する意向を自民党幹部に伝えた。衆院選は2月中旬までの投開票が想定される。
通常国会の冒頭解散は極めて異例だ。2026年度当初予算案の年度内成立は困難となり、「経済最優先」を掲げる首相の方針と矛盾する。なぜ解散を急ぐのか、疑問を抱かざるを得ない。
高市政権は昨年10月、衆参両院ともに少数与党で船出した。衆院では無所属議員を自民会派に取り込み、連立を組む日本維新の会と合わせて過半数を回復したが、過半数に満たない参院の状況に変わりはない。
発足以来、内閣支持率は70%前後の高い水準を維持している。首相の人気に乗じた早期解散で自民の議席を増やし、政権基盤の安定を図る狙いが透けて見える。物価高騰にあえぐ国民生活を置き去りにした党利党略ではないか。
解散について問われた年頭会見で首相は「国民に物価高対策や経済対策の効果を実感してもらうことが大切だ」などと述べ、26年度予算の早期成立に意欲を示していた。昨年末の税制改正論議では、国民民主党が求める「年収の壁」引き上げを丸のみし、その代わりに予算と税制改正の年度内成立に協力する約束を取り付けていた。国会審議を先送りしてまで解散しなければならない大義はあるのか。
前回の衆院選は24年10月で衆院議員の任期は半分以上残っている。政策課題は山積しており、解散で生じる政治空白の影響は避けられない。
首相は「責任ある積極財政」をうたうが、ガソリン暫定税率廃止などの代替財源の手だてを示さず国債の増発に頼っている。市場では借金依存による財政悪化を懸念し長期金利の上昇が続く。与野党は有識者も交えて、税と社会保障の一体改革を議論する国民会議を今月中に設ける予定だが、開催自体が危ぶまれる。
首相の台湾有事を巡る国会答弁が日中間の緊張を高めており、一刻も早い関係改善が不可欠だ。
企業・団体献金の規制強化など「政治とカネ」の問題に決着をつけないまま、選挙に突入することも看過できない。信を問うというならば、信頼回復の道筋も示してからが道理だろう。自民の政党支持率は30%前後にとどまっており、必ずしも与党が有利になるとは限らない。
こうした懸案を棚上げにして、国民に何を問おうというのか。議論すべき課題に正面から向き合わないのは国会軽視であり、解散権の乱用と言える。
それでも解散を断行するのなら、首相は国民にその理由を明確に説明するべきだ。























