神戸新聞NEXT

 ロシアがウクライナに侵攻して4年がたった。戦線は膠着(こうちゃく)したまま死傷者は増え続け、両軍の死者は30万人以上とも言われる。ロシアを利さない条件で一日も早い停戦を望む。

 ウクライナ市民への無差別攻撃が激化している。在宅を感知して攻撃するドローンに狙われ、エネルギー施設の破壊で厳冬下に暖を取ることもままらない。国連によると、民間人の死者は1万5千人を超え、その半数近くを子どもが占める。

 人々の疲弊が極限に達する中、米国の仲介による3カ国協議は突破口が見えない。ロシアがウクライナ東部のドネツク、ルハンスク両州の割譲を強硬に要求していることが要因だ。ウクライナにとって降伏に等しい条件であり、到底容認し難い。

 領土問題を棚上げし、停戦を実現させることが先決だ。米国は国際社会と連携し、制裁を含めた強い圧力をロシアに科さねばならない。

 侵攻4年の24日に会見したウクライナのゼレンスキー大統領は「早期の終戦を支持している」と表明した。既にウクライナは交渉で譲歩を重ね、占領地でのロシア軍駐留を一定期間許容する方針とされる。

 だが、領土や主権までゆるがせにできない。そもそも侵攻は明白な国際法違反である。ロシアが停戦に応じなければ、軍事援助を大幅に削減している米国をはじめ、国際社会が支援を強化する必要がある。

 しかしトランプ米大統領はロシア寄りに傾斜し、ウクライナに対し領土割譲を含め早期の妥結を迫っている。共和党の不利が予想される11月の中間選挙を控え、和平仲介の実績をつくるために圧力をかけているとの見方が広がる。政権基盤強化のために交渉を進めようとするなら、ロシアから足元を見透かされよう。

 終戦後のウクライナの「安全の保証」も国際社会に突きつけられた課題だ。ロシアはこれまでも和平合意を破り、侵攻を繰り返してきた。軍事力の無力化にこだわるのは属国化や併合への布石にも見える。

 大国が武力や威圧で現状変更を図る動きを容認すれば、国際秩序は根底から揺らぐ。トランプ氏の唱える「力による平和」はロシアを利するだけであり、責任ある大国の指導者としての振る舞いを求めたい。

 日本の対応も問われる。ゼレンスキー氏は、殺傷能力のある防衛装備品の輸出ルールの緩和を目指す高市政権に対し、防空力強化への協力を期待する。ただ国際紛争を助長する恐れのある交戦国への兵器の供与には慎重でありたい。民生面での支援を可能な限り強めるべきだ。

 欧州とも連携しながら外交努力を尽くすなど、対話による解決へ日本が果たすべき役割は大きい。