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 はしか(麻疹(ましん))の患者が国内で増加している。今年に入って529人(速報値)が報告され、この10年で最も患者が多かった2019年の年間744人に次ぐペースだ。拡大の勢いは一時より鈍ってきているものの、夏に向けて人の移動が活発になる時期だけに、社会全体で予防を徹底しなければならない。

 はしかは感染から10日ほどの潜伏期間を経て発熱やせき、鼻水の症状が現れ、その後発疹も出る。妊婦の場合、流産や早産となる恐れがある。肺炎や脳炎など深刻な合併症を引き起こして命に関わることもあり、甘く見ることはできない。

 都道府県別では、東京が260人と突出して多く、いずれも40人台の神奈川と埼玉が続くなど関東圏で報告の多さが目立つ。一方、関西圏では大阪の15人が最も多く、兵庫と滋賀が各2人となっている。

 日本は15年に世界保健機関(WHO)から、土着するウイルスによる感染が確認されない「排除国」に認定されている。ただ、海外からの帰国者や訪日客によってウイルスが持ち込まれているとみられ、決して「昔の病気」ではない。近年は世界的に流行しており、英国やカナダなど排除認定の取り消し例も出ている。

 恐れられるのは、インフルエンザの10倍ともいわれる爆発的な感染力だ。はしかは接触感染や、せきなど飛沫(ひまつ)による感染だけでなく、空気感染でも広がる。マスクや手洗いで抑えることは難しい。免疫がないと同じ部屋にいるだけで発症する。

 感染した場合、初期症状は風邪と見分けがつきにくい。疑われる症状があるなら、二次感染を防ぐために公共交通機関の利用を避け、事前に医療機関に電話連絡した上で速やかに受診することが求められる。

 特効薬はなく、最も有効な予防法がワクチン接種だ。日本では00年4月2日以降に生まれた人は1歳と小学校入学前の計2回、定期接種の機会が設けられている。

 一方、はしかにかかったことがなく、ワクチンの接種歴もない人は感染リスクが高い。2回の公的接種から漏れた世代では、免疫が足りていない可能性がある。2回打っても感染する人はいるが、症状は軽く、周囲にうつすことは少ないという。家族や職場の同僚らを守るためにも、自らの接種歴を確認してほしい。

 新型コロナウイルス禍以降、副作用などワクチンに対しマイナスイメージを抱く人が増え、接種率は低下傾向にある。24年度の2回目接種率は91・0%で、厚生労働省が目指す95%以上には届いていない。

 政府や自治体はワクチンの有効性や安全性について、正確で丁寧な情報発信をしてもらいたい。