冬眠明けのクマの活動が春から活発化し、東北地方を中心に人的被害が出ている。4月の出没件数は1759件(速報値)で、記録が確認できる2009年以降で過去最多だった。4、5月の被害者は20人(同)で、そのうち4人が死亡した。
25年度の全国のクマ出没件数は5万801件と、過去最多だった23年度の倍以上である。人的被害は238人(死亡13人)だった。秋田、岩手、福島県などの被害が目立ち、東北6県で6割以上を占める。
本年度も同様の傾向で、仙台、福島、宇都宮市など県庁所在地の市街地でも出没が相次ぐ。東京都内の住宅地近くでも目撃された。山間部だけではなく、都市を含めた生活圏内で遭遇する事例が増え、被害は年を追うごとに深刻化している。
市街地などでの出没急増に対応するため、昨年9月に改正鳥獣保護管理法が施行され、市町村長の判断で発砲を可能とする「緊急銃猟」の制度が導入された。同制度による銃猟は今年6月20日までに12道県で72件実施された。一定の効果が出ているものの、発砲すべきかどうか難しい判断を迫られるほか、ハンター不足といった課題もある。狩猟免許を持つ公務員「ガバメントハンター」の確保などが求められる。
兵庫県でもクマは淡路島を除く広範囲で出没している。6月には神戸市北区に設置したカメラに写っていた。同市内でクマが確認されたのは初めてだ。但馬や西播磨北部、丹波地域などのほか西宮、宝塚、三田、加西市などでも目撃されている。山林に入るときなどは注意したい。
県内のクマの生息数について、県森林動物研究センターは400~800頭とし、この10年間に大きな変化はないという。県は03年に保護管理計画を定め、個体識別のマイクロチップを使った調査結果や被害状況に応じ適切に駆除をして、クマの厳密な個体数管理を進めてきた。管理の手法は隣接する京都府や岡山、鳥取県とも共有している。
保護と被害防止を両立させる先駆的な取り組みであり、生息数の安定はその成果と言える。
これまでクマの個体数を推計してきた自治体は約20道府県しかない。環境省は6月末、ようやく個体数の調査に着手した。東北を中心とした生息地の山中にカメラ約800台を設置し、個体数を推計する。来年度は他の地域にも広げるという。
全国的な調査が始まったことは望ましい。ただ先進地の兵庫県でも、管理可能な頭数などは研究途上の状態だ。環境省は各自治体との連携を深め、適切な個体数管理の方法などを探ってほしい。そのための専門人材の育成も急がねばならない。























