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 日本人を含む約3千人が犠牲となった2001年9月11日の米中枢同時テロからきょうで25年を迎える。旅客機4機を乗っ取り、ニューヨークの世界貿易センタービル2棟やワシントン近郊の国防総省ビルに突入させる手口は世界を震撼(しんかん)させた。

 国際テロ組織アルカイダの犯行とされ、米国内外でイスラム教徒への偏見や差別が激化し、米政権は「テロとの戦い」を始めた。だがテロの背景には、欧米とイスラム社会との根深い分断があった。根本的なテロ対策には、相互不信を払拭する息の長い取り組みが欠かせない。

 当時のブッシュ米大統領は同10月、アルカイダを支援するイスラム主義組織タリバンが支配するアフガニスタンへの軍事攻撃を開始した。さらに世界中のイスラム過激派を掃討する方針を掲げ、大量破壊兵器保持を口実に03年にイラク進攻に踏み切った。しかし、テロとの戦いは失敗に終わったと言わざるを得ない。

 イラクのフセイン政権は倒れたものの権力の空白は過激派組織「イスラム国」の台頭を招き、反米のシーア派大国イランの影響力を強めた。アフガニスタンでも21年の米軍撤退を機にタリバン政権が復権した。

 過激派組織の掃討はかえってアフリカなどでのテロ行為の拡散を招いた。力をもって憎悪の対象を制する手法は限界を露呈したと言える。

 トランプ米大統領は昨年と今年、過去の過ちを忘れたかのようにイランを攻撃した。期待した政権転換は実現せず、半年以上が経過しても戦闘終結の道のりは見えない。

 欧米とイスラム社会との分断は9・11以前から深まっていた。要因の一つはパレスチナ問題だ。イスラエルはパレスチナ自治区への違法な入植や自衛権を盾にした攻撃を繰り返してきた。共存をうたうオスロ合意はほごにされたが、欧米は見て見ぬふりを続けた。この態度が米国やイスラエルと敵対する武装組織に「大義」を与えてきたことを先進国は肝に銘じなければならない。

 ただ分断克服のきざしとなり得る動きもある。ニューヨークでは親パレスチナのイスラム教徒、マムダニ市長が誕生した。宗教や出自を超え融和を図る取り組みに期待したい。

 日本も分断の流れとは無縁ではない。小泉政権はテロとの戦いに追随し、停戦合意などの要件を満たさないまま自衛隊のイラク派遣に踏み切った。それを機に集団的自衛権や敵基地攻撃能力がなし崩し的に容認されてきたことを忘れてはならない。

 近年は在日外国人排斥の主張が一部で高まりを見せ、高市政権は在留資格の厳格化で後押しする。政府の政策や私たちの言動が分断を深めていないか、問い直す必要がある。