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 企業が保有する大量の個人情報が不正アクセスにより漏えいするケースが頻発している。メールやネット予約ができないシステム障害も起きた。社会不安が広がっており、官民で対策を急がねばならない。

 同時多発的な被害の背景に、高度化した人工知能(AI)の悪用が指摘される。システムの欠陥や不備を洗い出すのが容易になり、特殊詐欺などに手を染めてきた犯罪集団が幅広い業種に攻撃を仕掛けている可能性があるという。

 顧客に会員登録を勧め、個人データを集めて商品やサービスを提供するビジネスモデルが標的になっている。攻撃された企業は被害者ではあるが、平時の情報管理が厳しく問われるのは当然だ。システムの点検やソフトウエアの更新、不要になったデータの削除といった基本動作を徹底する必要がある。

 カーシェアリングサービス「タイムズカー」では約660万件の個人情報が流出し、うち約160万件は運転免許証の画像だった。免許証は本人確認に使われることが多く、第三者が本人に成り済まして金融機関の口座開設やクレジットカードの発行に悪用する恐れがある。

 タイムズカーを運営するパーク24は、会員の退会後も7年間、免許証の画像を保存していた。個人情報保護法はデータが不要となれば「遅滞なく消去」に努めるよう事業者に要請している。長期間の画像保存が妥当だったのか疑問が残る。

 ブックオフやローソンなどでも漏えいがあった。自治体の防災情報などの配信を手がけるアルカディアは、兵庫県や神戸市などの自治体職員の個人情報が流出した恐れがあるとしている。大手旅行会社HISは2月に最大627人のパスポート情報が漏えいした恐れを把握しながら、発表は10月にずれ込んだ。悪用による被害の拡大を防ぐためにも、速やかに公表するべきだった。

 不正アクセスを完全に防ぐのは難しい。企業は万が一に備え、システム復旧の訓練や事業継続計画(BCP)の策定に努めてほしい。専門人材の育成も鍵となる。

 国の取り組みも重要だ。電気や鉄道など基幹インフラの防御態勢を強化する「能動的サイバー防御」関連法が今月1日に施行された。政府とインフラ事業者が情報共有し、サイバー攻撃を未然に防ぐという。政府には、海外とも連携して関連情報の収集や分析の能力を高めることが求められる。

 個人の対策も欠かせない。専門家はカード明細のこまめなチェックやパスワードの使い回しを避けることなどを勧めている。誰もが被害者になり得るとの危機感を持ちたい。