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 生物の絶滅などを回避するための国連生物多様性条約第17回締約国会議(COP17)が先月、アルメニアの首都エレバンで開催された。会議では、生態系を守る世界的な取り組みが、かつてない規模で進んだと評価した。一方で、2030年までに自然の損失を食い止め、回復に転じさせる国際目標については「対策を加速できなければ、達成は不可能だとの深い懸念を表明する」との文言を合意文書に盛り込んだ。

 目標達成に向けた取り組みの不十分さが、各国の共通認識となったと言える。条約事務局のショーメーカー事務局長が「いかなる国も経済も社会も、生物多様性の損失と無関係ではいられない」と述べたように、環境保全は切迫した課題だ。各国は対策を強化しなければならない。

 国連の科学者組織は、過去1千万年平均の数十~数百倍の速さで絶滅が進んでいると指摘する。世界自然保護基金(WWF)も今年、生物多様性の豊かさを示す指数が、1970年からの約50年間で73%低下したとの報告書を出した。生態系は危機的な状況にあると言うほかない。

 同条約には日本を含む196の国・地域が加盟する。2022年のCOP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」は、自然の損失から反転する「ネーチャーポジティブ(自然再興)」の理念を掲げる。30年までに、陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する目標「30by30」などを示した。

 各国の報告によると、保全地域は20年以降増加傾向にある。だが25年時点で陸域は19・5%、海域が16・7%にとどまる。このペースでは達成は厳しい。日本も国際目標に合わせ、30年までの生物多様性国家戦略を定める。企業や個人、自治体などが保全する地域を「自然共生サイト」に認定するなどの取り組みを進めるものの、陸域21・0%、海域13・3%とやはり目標からは遠い。

 生態系回復に向け、国連はその財源を4倍以上に引き上げる必要があると試算する。特に課題となるのが途上国の資金だ。枠組みでは、先進国から途上国への支援を25年までに年間200億ドル(約3兆1600億円)、30年までに同300億ドルと目標に定めたが、20~23年の合計で177億ドルと全く届かない。先進国のさらなる努力が求められる。

 生物多様性については、兵庫県も国家戦略に沿う「ひょうご戦略」を策定している。明石市も今年「ネイチャーポジティブ宣言」を表明し、神戸市はCOP17に大学生を派遣した。ただ、市民の関心はまだ高いとは言えない。環境保全は日々の暮らしと密接に関わる。足元の自然についての関心をもっと深めたい。