
すっかり暖かくなり、新学期が始まって1か月が過ぎようとしています。中学3年生のお子さまを持つご家庭では、さまざまな悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。今回は、塾講師としてだけでなく、私自身がどのように子どもと向き合ってきたのかも交えながらお話ししていきます。
◆受験生なのに勉強しない…
多くの保護者の方にとって筆頭に上がるお悩みがこれではないでしょうか。私もたくさんの保護者の方と面談してきましたが、この悩みが一番多かったです。
そんな子どもと向き合う時に念頭に置いておきたいのは次の2点です。
・おそらく自分自身も自分の親にこのような思いを抱かせてきた
・子どもは親の言うことを聞かないのが普通だ
私は母親から「あなたは口を開いたら「別に」しか言わないね」と言われて、「別に」と返したことがあります。その時「母親はなんてよく見ているのだろう」と思い直しましたが、それは言葉にならなかったことを思い出します。
だから自分の子どもに対しても「勉強しなさい」とは言ったことがありません。それより「勉強が嫌なら高校に行かずに働いて、家にお金を入れてね」とさえ言っていました。
妻は、「勉強しなさい」と言っても、おそらくしないのはわかってはいるが、やはり子どもと接する時間が長くなるとそう言ってしまうことに多少苦しんでいたようです。そんな愚痴を聞くのも私の大事な仕事でした。
◆将来必要な力は現状を打破していく力

私は自分の子どもに対して「勉強しなさい」とは言いませんでしたが、将来のことを考える題材は与えました。
具体的には、新聞記事、ニュース、本などから、いろんな話をよくしていました。もちろん、将来について強要することはしていません。
また、子どもが居間で勉強せずにスマホばかりいじっていたら、その横で本を読んだり仕事をしたりしていました。
将来必要な力は、強制されて嫌々勉強して身に付けた学力ではなく、自分で考えて今の状況を打破していく力だと思います。
もちろん高校入試という期限があるので、当時は、日々ギリギリのせめぎ合いをしていたかもしれません。しかし、親ができることは、子どもがなるべく自然に勉強に取り組めるような環境を整えてあげることだと思っています。そして塾の先生としては、塾が自然に勉強したくなる場になるように気を使っています。
◆勉強方法について
勉強の質と量とどちらが重要なのか。こちらも面談してきた保護者の方に多い悩みです。
現在は脳科学的に勉強の質を高める方法がわかってきています。様々な書籍が出ていますし、Youtubeでもそうした内容の動画が沢山あります。
Youtubeは投稿者が信頼できるかどうかを確認する必要がありますが、一つご紹介できるとするなら「【勉強は才能よりやり方で決まる】記憶を定着させる「メタ認知」と「ハイパー修正効果」とは? / 勉強は「教える想定で学ぶ」 / 日常生活でメタ認知を上げるには?」でしょうか。
これはスタンフォードオンラインハイスクールの校長をされている星友啓氏がPIVOTでお話されているものです。
今は親世代より学習内容が多く、また問われることは難化しているのが現状です。限られた時間で成果を出すためには、がむしゃらに頑張るのではなく、質の高い勉強法で量をこなさなければなりません。
親子で目線をそろえるために、お子さまと一緒に視聴して、科学的に成果の上がる勉強法を確認してみるのもいいのではないでしょうか?
◆生活習慣について

自分で起きてこない、脱いだものは散らかしっぱなし…など、こうした生活に関する悩みも尽きないかと思います。
私は生死にかかわらないのなら、失敗させた方が良いと考える人なので、遅刻したり忘れ物をして恥をかいた方が次からきちんとするだろうと考えています。
親の役割は目先の得点をアップさせることではありません。自分がいなくなった将来、子どもが幸せに暮らしていけるような力をつけてあげることだと思います。
そう考えると、本来子どもが自分でやるべきことを親が代わりにやってあげる必要はないのではないでしょうか。
ちなみに私自身は子どもの頃、お小遣いアップを条件に家族全員分の夕食後のお皿洗い、お風呂の掃除、自分のシャツのアイロンがけ、夜食の調理、日曜日はトイレ掃除をすべてやっていました。
振り返って考えると、大人になったときに何一つ困らない自分がいたので、とても良かったなと思います。動機は不純でしたが、任せてくれた親に感謝しています。
◆将来どんな大人になってほしいか
今回は今まで面談してきた保護者のお悩みで多かったことについて回答させていただきました。もちろんこれが皆様にとってベストな回答だとは思っておりません。
それぞれにベストな回答とは、一人ひとりの保護者の皆様が、お子さまに将来どのように育ってほしいかを考え、悩み、必要だと思うことを、自信をもって行動に移すことだと思います。
私は親になって初めて「自分の親もこのように悩んできたのか」と思いました。
同時にその時に自分が何を考えていたのかを思い出し、今目の前にいる自分の子どもや、塾に通って私の授業を受けている生徒たちに接しています。
自分の子どもがどのような大人になってほしいか。この問いを抱えてお子さまに接している限り、きっと大丈夫だと思います。
◆この1年の過ごし方の目安
悩みが尽きない1年ですが、最後に、保護者の皆さんに向けてこの1年の過ごし方の目安をお示ししておきますので、参考にしてみてください。

<執筆者>株式会社創造学園常務取締役・手嶋孝紀
兵庫県を中心に100教室以上を展開する株式会社創造学園の総合進学塾エディック・創造学園にて教室責任者、学区責任者、研修、教務など、あらゆる部署を歴任し、教育現場から経営まで幅広い経験を積む。現在は常務取締役として教務のみならず会社全体を統括しながらも、「教務のトップである限り現場を離れない」という信念を貫いている。どれほど多忙でも教壇に立ち、生徒と共に学ぶ姿勢を崩さない。その現場での気づきが、新しい教材や指導法の開発へとつながり、創造学園全体の教育力向上を牽引している。






















