着払いで送り返されたお菓子(提供画像)
着払いで送り返されたお菓子(提供画像)

賞味期限切れのお菓子を半額で売ったところ、購入した客が翌日「賞味期限切れとは何事だ」と激怒し、着払いで送り返されたーー。あるお菓子屋さんで起きた騒動が話題を呼んでいます。

北海道長万部町のお菓子屋「お菓子の王国はっぴーディアーズ」(@happy__deers)は、レジ横に賞味期限間近だったり、賞味期限切れのお菓子を特価で販売しています。その賞味期限切れコーナーでいも風味の饅頭(まんじゅう)を半額の263円で売っていたところ、購入した女性客から「賞味期限切れの物を売って、おたくは何ていう会社だ!」「信用問題だ」と怒鳴りつけられ、630円の送料着払いで送り返されました。店は送料を支払い、完全に赤字です。「こういうお客様は迷惑です。働く者を苦しめています」「悲しい出来事でした」とTwitterで胸の内を吐露したお菓子屋の店長に話を聞きました。

■「着払いで返してやる」

クレームが入ったのは賞味期限切れコーナーで販売していた饅頭「いも風味」でした。値札には「賞味期限が6月26日までの商品な為、めちゃめちゃ激安にしました!」「何卒ご了承の程よろしくお願いします!」と書かれ、通常価格の半額となる263円(税込み)で特価セールされていました。

クレーム客は6月28に半額のいも風味を買い、翌6月29日朝に「賞味期限が切れているものを売っておたくは何ていう会社だ!信用問題だ」と電話で怒鳴りつけてきました。

ーー抗議電話はどんな内容でしたか。

「賞味期限が切れていたことにものすごく怒っておられました。『信用問題だろ!』『アンタ(店長)は話にならない』と『着払いで返してやるわ』と電話がブチッと切れました。声の感じだと50代か60代くらいの女性でした。こちらは『商品は送らないでいいです』とお伝えしたんですが…」

「レジ横の賞味期限切れコーナーを、商品説明を見ずに安いから買われたのだと思います。従来からレジの従業員には『この商品は賞味期限が何日までですけど、よろしいですか?』と購入客に念押しするよう伝えてきたのですが、すべてのお客様に徹底できたかは分かりません。

このような事態がまた起きても困ってしまうので、怒っているお客様に電話をかけ直すのはとても勇気がいることで、恐ろしかったのですが、『やはりきちんと説明をしなくては』と思い、もう一度お電話しましたが、またブチッと切られてしまいました。あらためて従業員にはレジでの声掛けをお願いしました」

ーー賞味期限切れ商品であることを明記していた店側に非はないように感じます。

「すごい剣幕で怒っていらっしゃるお客様に反論して、『賞味期限は値札に書いてありますよ』とは言えませんでした。お客様の不注意を責めることになるからです。」

ーー着払いで返送されたお菓子について、Twitter上では「受け取り拒否してもいいのでは」という意見も多かったです。

「受け取り拒否してもめるのも…と思い、送料690円を支払いました。損害ですよね」

◇  ◇

理不尽ともいえるクレームにTwitterでは「お菓子の王国さんは悪くない」「脅しに屈しないで」と励ましのメッセージが寄せられました。

その後、店長さんは「私は考え方を変えました。売り場がわかりづらかった!」と考えを改め、「誰が見てもわかってもらえるように、企業努力が足りなかったのをお客様のせいにしていた!」「早速行動します!」と賞味期限切れコーナーにドクロマークのシールや、黄色と黒のCAUTIONテープを張り巡らせました。おどろおどろしいドクロのおもちゃを注文し、特価コーナーに置く予定です。賞味期限切れだとより分かりやすく、伝わりやすい置き場に改善していくといいます。

(まいどなニュース・伊藤 大介)