結婚して家族が増えると、新しい文化や価値観が交わる機会が増えます。それが温かいものであれば幸せですが、ときにはプレッシャーとして重くのしかかることも。東京都在住のYさん(40代)は、毎年この時期になると義母からの“あるお願い”に悩まされ続けています。
■10年続く「雛人形攻撃」
Yさんが結婚し、娘を出産してから10年。毎年雛祭りが近づくと、義母から「雛人形は買ったの?まだ買ってないなら送るわよ」と連絡が入ります。
Yさんは何度も「必要ありません」「うちは賃貸マンションで、部屋が狭いから無理です」と断っているのですが、義母は一向に諦める気配がありません。最初は「お気持ちだけで嬉しいです」と丁寧に断っていましたが、毎年繰り返されるとイライラが募るばかりです。
「七段飾りは無理でも、せめて三段飾りはどう?」「もっとコンパクトな親王飾りはどう?ケース入りにする?」と提案は続きます。どんなに「本当にいらない」と伝えても、毎年雛人形のパンフレットとともに、雛あられやひし餅などのお雛菓子まで送られてきます。
義母は女の子の孫ができたのが、単純に嬉しいのでしょう。以前義母は「男の子3人を出産して育ててきたけど、華やかさがなくてつまらなかった」と話していたことがあり、娘が生まれたときには「女の子を産んでくれてありがとう!」と大感謝されたほど。しかし、Yさんにとっては完全にありがた迷惑な話でした。
■欲しいのは、雛人形が置ける広い家
毎年このやりとりに疲れ果て、夫に「もう義母にしっかり断ってほしい」と訴えてはいるものの、夫の返事はいつも同じです。「母も悪気はないんだから、もう受け入れてあげてもいいんじゃない?」。その言葉に、Yさんの不満はさらに募ります。
「悪気はないからって、こんなに狭い家のどこに雛人形を置けというの?」
少しでも油断すると、義母から勝手に雛人形が送られてくるかもしれず気が抜けません。最近は「手作りの木目込み人形を作ろうかしら」といった新たな提案まで飛び出し、「お雛様は娘の厄を引き受けてくれるのよ」「ちゃんと飾らないとお嫁に行けないわよ」とプレッシャーは続きます。
「だったら豪華な雛人形が飾れるような広い家を、先に買ってくれ!」と心の中で叫びながら、Yさんはこの状況にうんざりしています。
■結婚当初は気遣いをありがたいと感じていたけど
結婚当初は、義母の気遣いを「ありがたいな」と思っていました。しかし、時間が経つにつれ、それが「しつこさ」や「押しつけ」に変わり、ストレスの原因になっています。最初は何も言えず受け入れていたものの、今では完全に限界寸前です。
「雛人形を飾らないとお嫁に行けない」だなんて、そんなことはありません。変な呪縛を娘にかけられる筋合いはないのです。本当に大切なのは、雛人形ではなく、家族と過ごす時間や健やかな成長を願う親の愛情だとYさんは思っています。
■次は私が夫にプレッシャーをかける番
来年こそ、この問題に終止符を打ちたい…そう決意した、Yさん。夫に「雛人形が置けるような広い家に引っ越したい」と交渉しました。しかし、夫の反応は「うーん」という煮え切らないもの。しかし、今後も続く義母からの「雛人形攻撃」を止めるためには、住み替えしか解決策がありません。義母の思いを受けて、今度は私が夫にプレッシャーをかける番です。こちらも簡単には諦められません。
結婚するときに「この人の義母と上手くやっていけるか?」などと考えたことはあったでしょうか。もし結婚前に、こんなことで毎年悩むような未来が見えていたら、正直、結婚を考え直したかもしれません。しかし今さらそんなことを悔やんでも仕方がありません。
これから結婚を考えている人は、「義母が雛人形をしつこく送ってこようとしないか?」もチェックポイントに入れてみてはいかがでしょうか。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)