子猫期。お鼻周りの茶色い毛柄も愛くるしい
子猫期。お鼻周りの茶色い毛柄も愛くるしい

「命には限りがあるのだと、コロ助の死を通して改めて感じました。何気ない日常が当たり前であると思わずに、1日1日を大切に過ごさなくてはいけない。コロ助は、それを教えてくれたような気がします」

そう話す飼い主さん(@kotepincharony)は、生後9カ月だった愛猫コロ助くんを2025年2月に亡くした。家族は、衣替えをしたコロ助くんと再び会える日を待ちわびている。

■廃棄物回収コンテナの中で生き延びた子猫をお迎え

コロ助くんは兄弟と一緒に、廃棄物回収コンテナの中で暮らしていた。保護時は、生後1~2カ月ほど。預かりボランティアをしている飼い主さんの友人がお世話をしていた。

全く人馴れしていなかったコロ助くんは毎日、威嚇していたが、愛を注がれる中で少しずつ家猫生活に慣れていったという。

2024年6月、4匹の猫と暮らしていた飼い主さんは末っ子の虎鉄くんに弟を作ってあげたいと思い、友人から声をかけられたことを機にコロ助くんをお迎えした。

コロ助くんはしばらく、ケージの中で生活。先住猫の虎鉄くんは、その様子をそばで見守っていた。

■3日間の脱走を経て甘えん坊にゃんこに

コロ助くんがケージから出られるようになると、虎鉄くんは献身的にお世話をするようになった。コロ助くんもまんざらではない様子で虎鉄くんに、ベッタリ。

ただ、人間への警戒心は強く、隠れたり逃げたりすることが多かった。

そんな性格が変化したのは、3日間の脱走劇を経験してからだ。2024年の夏、コロ助くんは旦那さんの不注意により脱走してしまった。家族は、近くで活動する地域猫の会に相談。捕獲機を4つ借り、捕獲に関するアドバイスも貰った。

また、近所の地域猫には「コロ助を見かけたら、帰るように伝えてください」とお願い。すると3日後、捕獲に成功。

「3日間は、生きた心地がしませんでした。外の生活がよほど怖かったのか、家に戻ったコロ助は突然、甘えん坊になり、膝の上が大好きな猫になったんです」

コロ助くんは、警戒して近づかなかった旦那さんにも甘えるように。家族からされるお尻をトントンが大好きで、喉を鳴らして喜ぶようにもなったという。

また、虎鉄くんへの態度にも変化が。脱走前は虎鉄くんがコロ助くんを思う気持ちのほうが強かったが、家に戻ってからはコロ助くんが虎鉄くんに向ける愛のほうが上回り、立場が逆転したのだ。

■生後9カ月で愛猫が突然死…

だが、賑やかな日々は突然、終わりを告げる。去勢手術から1カ月ほど経った2025年2月11日、コロ助くんは天国へ旅立ってしまったのだ。

その日、飼い主さんは仕事から帰宅し、コロ助くんの亡骸を目にした。当日の朝は同居猫を追いかけるなど元気で、出勤前には同居猫たちと一緒に寝室のベッドで眠っていたため、予想できなかった最期に大きなショックを受けたという。

コロ助くんを看取ったであろう同居猫たちの反応は様々だった。一番仲が良かった虎鉄くんは当初、よく分かっていない様子であったが、だんだん状況を理解したようで亡骸に寄り添うこともあったという。

「突然死だったと思われます。お骨は、あちこちが真っ黒になっていました。葬儀社の方によれば、お骨が黒い場合、病気を患っていた子が多いのだそう。もしかしたら先天性の病気を持っていたのかもしれませんね、と告げられました」

母親をガンで亡くし、真っ黒なお骨を見たことがある飼い主さんはその言葉を聞き、納得したが、あまりにも突然の別れであったため、悲しみに暮れた。

■今でも家のどこかに「あの子」が隠れているような気がして…

「これまで迎えた猫たちは特に病気をすることなく、避妊・去勢手術を終えて元気に過ごしていたので、当たり前のように一緒に年を重ねていけるものだと思っていました。まさか1歳にも満たないまま逝ってしまうなんて…」

そう話す飼い主さんは今でも、家のどこかにコロ助くんが隠れているような感覚になることがあるそう。また、病気のサインを見逃していたのかも…という後悔の念に襲われることもある。

「ただ、火葬までに5日ほどあり、毎日亡骸に話しかけながら手を合わせられたので、だんだん心が落ち着き、死を受け入れられた部分もありました」

コロ助は身を持って、「健康に気をつけて」と教えてくれたのかもしれない。そう感じもした家族はコロ助くんの死後、自分の体に意識を向けるようになったそう。旦那さんは実際に、自分の体をメンテナンスしている。

当たり前のように感じられる日々の尊さを教えてくれた、コロ助くん。家族の前に再び姿を見せてくれる日は、そう遠くないように思える。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)