英語教室が最近イヤになってきた… ※画像はイメージです(hakase420/stock.adobe.com)
英語教室が最近イヤになってきた… ※画像はイメージです(hakase420/stock.adobe.com)

Aさんには小学4年生の子どもがおり、1年生のときから英語を習っています。英語は小学3年生から必修化されており中学では難しくなることから、今後も続けてほしいと思っています。また授業はオンラインで受けるため送迎の必要もないことから、親としても負担が少なく助かるなと思っていました。

ところが最近では、授業中に眠気が勝ってウトウトするように。また宿題も嫌がりながらやるようになり、「やめたい」と言い出しています。もともと子どもが自分から英語を習いたいと言って始めた習い事であることや、ここで辞めさせたら挫折癖がついてしまわないかが不安で、Aさんはどうすればいいか決められないでいました。

このような場合、どうすればよいでしょうか。オリンピック選手へのメンタル指導や子ども・保護者への教育講演などをおこなっている川谷潤太さんに話を聞きました。

■選択肢は継続・退会の2択ではない

-このような場合、習い事を継続すべきか、辞めさせるべきか、どうすべきでしょうか?

Aさんは「継続か退会か」という2択で考えてしまっているかもしれませんが、実際にはより多くの選択肢が存在します。大切なのは、どの選択肢が正しいかではなく考えられるすべての選択肢を明らかにした上で、お子様自身が納得して「選択する」ことです。まずお子様と一緒に「なぜ英語を始めたのか」という当初のゴール(目的)を再確認しましょう。そして、今の状況がそのゴールにどう影響しているかを考えてみます。

このとき、親が「どうするの?」「どうしたいの?」と感情的に問いつめてしまうと、子どもは「継続か退会かの」2択で判断しやすくなってしまうため、感情に流されず冷静に対応することが大切です。

お子さんに「英語を始めたとき、どんな気持ちだった?」「今、何が嫌?」と聞いて、思ったことを紙に書いてもらうのも非常に有効です。選択肢を一緒に書き出して、「どれがいいと思う?」と聞くと、お子さんが自分で考えを整理して選びやすくなります。保護者の方の心配な気持ちもよくわかりますが「絶対続けなさい!」と押し付けると、「やらされてる」気持ちが強くなり、自分で考える力が育たなくなってしまいます。

今回選んだ選択がもしうまくいかなくても、きちんと自分で考えて決めた経験はお子様の成長に繋がります。脳科学の研究でも、自分で選択肢を選んだ子は自信がつき、勉強の成績も上がる傾向があるとも言われています。

-習い事をうまく継続させるために、親がすべきサポートはありますか?

お子さんが「眠い」「宿題嫌い」と感じるのは、英語が「楽しくない」気持ちになっているサインかもしれません。嫌な気持ちが続くと、やる気がどんどん下がってしまいますが、親のサポートでその気持ちを変えられるかもしれません。 具体的な方法を3つご紹介します。

①嫌いな理由を整理する:お子さんの頭の中に「眠い」「つまらない」など、いろんな気持ちがでてきていて整理できていないかもしれません。紙に「嫌いなこと」(例:眠い、宿題が多い)を書いてもらい、どれが一番嫌かを比べます。そして、1つずつ解決策を一緒に考えてみましょう。例えば、宿題が嫌なら親と一緒に解くなど。実際に、悩みを整理することは子どもの心を元気にする効果があるとも言われています。

②「楽しい!」を増やす:英語が「楽しい!」と思える瞬間を増やすのもおすすめです。例えば、お子さんが好きな英語のアニメを一緒に見て、「この単語、知ってる?」とクイズにしたり、簡単な英語ゲームアプリを試したり。できたときは「すごいね!かっこいい!」とたくさん褒めてあげてください。親の「いいね!」は、お子さんのやる気をぐんと上げます。逆に、怒ったり、「なんでできないの?」と言うと、英語がもっと嫌いになってしまうので注意が必要です。

③得意なことを伸ばす:お子さんの英語での「得意」を探して、どんどん伸ばしましょう。たとえば、発音が上手、単語を覚えるのが早いなど。好きな英語の歌を一緒に歌ったり、「この発音、めっちゃ上手!」と褒めたりすると、自信がつきます。「苦手を無理やり頑張る」ことも後々の人生では活きることもありますが、あくまで「成長」という意味で捉えると、楽しいことやワクワクを大きくすることが重要です。

◆川谷 潤太(かわたに・じゅんた)株式会社脳レボ 代表取締役社長
大手学習塾で当時史上最年少の校長に就任。その後、高校教員として甲子園出場や日本一の部活動を育成。現在は株式会社脳レボ代表として、脳科学に基づくメンタル指導や教育支援をおこない、オリンピック選手やプロ野球選手などのアスリートやスポーツチームへのメンタル指導、子ども‧保護者‧教員向けの教育講演、企業の人材育成マネジメントや研修などを開催。これまでに講演は全国で1500回以上、受講者は12万人超。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)