ニュースなどでよく聞く電話を使った詐欺事件。もし実際に自分にかかってきたらどうしようと考えると、不安になってしまう人は少なくないでしょう。そんな電話による詐欺トラブルについて、イラストレーターのみやけさんが自身の体験を描いた作品『詐欺電話で爪跡を残せなかった話』が、SNSで話題を集めています。
ある日、みやけさんのスマホに知らない番号の電話がかかってきたことから物語は始まります。「こちら、みやけさんのお電話で間違いないでしょうか」と相手は自分の名前を知っており、初めはみやけさんも「はい~」と、普通に対応しました。しかし次の瞬間、相手が「警視庁です」と名乗ったことでみやけさんは「詐欺だ!」と即座に気付きます。
みやけさんが「えっ、あっ、あの......どういうお話……」と動揺した様子を見せると、電話の相手は「ちょっと電話でお話させていただきたいんですが、本日お休みですか?お仕事ですか?」と、なぜか仕事中かをしつこく聞いてきます。
相手の問いかけに「......おしごとしてます!」と答えたみやけさんに、電話の相手は「えーとですねー、ちょっとこのままお電話でお話させていただきたくて」と、仕事の有無は関係なく話を進めようとしてきます。その時みやけさんは「今の聞いた意味あった?」と心の中でモヤモヤするのでした。
2時間かかるという話に「イヤ~2時間はちょっと無理ですね……」とみやけさんが返すと、電話の相手は「いいんですか?警視庁ですよ?」と続けます。みやけさんが機転を利かせて「折り返すので」と名前を聞くやり取りの中で、警視庁の具体的にどの部署かを聞くと、「ハッ(笑)いやいや、警視庁って東京の千代田区ですよ?(笑)」と、電話の相手はバカにしたような言い方をしてきました。
電話の相手に内心怒りながら、みやけさんは電話を続けます。すると電話の相手は、「お住まい新宿ですよね?」と、みやけさんが住む場所(事実は違う)を伝えてきたり、「このままだと警視庁まで来ていただくことになりますよ!?」と脅すようなことを言いはじめました。それでもみやけさんは、内容を聞かなければ行けないと言うと、一方的に電話が切られてしまいました。
電話が切れた後、みやけさんは「なにひとつうまいことも言えず、爪跡を残せなかった」とうなだれます。たとえば「おっ、乗っかってやんよ?」と余裕を見せるパターンや、「これって……詐欺ですよね」と毅然と詐欺であることを追い詰めるパターンもあったと想像しますが、実際には行動に移せないもののようです。
コメント欄には「私もついこの前かかってきました!」や「市外局番-〇〇〇-110以外は詐欺。そもそも携帯番号の時点で怪しさしか無い」など、経験談やみやけさんの勇気を称える内容が多く寄せられました。そんな同作について、作者のみやけさんに話を聞きました。
■正直ちょっとテンションは上がりました
ーこのような詐欺電話がかかってきたのは初めてだったのでしょうか。
初めてです。テレビなどで「偽警察官からの詐欺電話が頻発している」というニュースを目にしていたので、「ついにうちにも来たか…」という気持ちでした。正直ちょっとテンションは上がりましたが、やっぱり怖さもありました。
ー当時の状況を教えていただけますか。
事前に知っていたイメージとしては「110が入った番号」や「+から始まる海外番号」でしたが、実際はまったく普通の携帯番号で驚きました。電話越しにはガヤガヤとした音も聞こえてきて、同じ部屋で複数人が一斉に電話をかけているのかな…と想像しました。私自身も会社員時代にチームで電話営業をしていた経験があるので、思わず重ね合わせてしまいました(笑)。
ー作品に寄せられた反響の中で印象に残ったコメントなどがあれば教えてください。
「実際に警察署の中でその電話を受けた」という方からコメントをいただいたのが印象的でした。実際に受付の方に電話を渡す直前で切れてしまったそうですが、もし繋がっていたらドラマのような展開になっていたと思います。
ー最後に読者にメッセージをお願いします!
日常のちょっとした出来事を切り取って、クスッと笑える息抜きになればと思って漫画を描いています。ぜひ気軽に読んでいただけたら嬉しいです!そしてくれぐれも詐欺電話にはお気をつけください~!
(海川 まこと/漫画収集家)