金色に塗られたガチャピンに才能を感じる母(ぬこー様ちゃんさん提供)
金色に塗られたガチャピンに才能を感じる母(ぬこー様ちゃんさん提供)

学生時代、漫画やイラストを描いていた人は多いですが、その中から漫画家になった人は少ないでしょう。漫画家のぬこー様ちゃんさんが描いた『僕が【金】で漫画家になった話』では、幼い頃のぬこー様ちゃんさんが漫画家を志したきっかけが記されています。

ぬこー様ちゃんさんが5歳の頃、やることが無さ過ぎて絵を描いていたことから物語は始まります。楽しく書いているところに、「あんた何それ!?オカシイって!」と母が血相を変えてやってきたのです。

理由は彼が描いたガチャピンの絵にありました。ぬこー様ちゃんさんはガチャピンを金色に塗っており、この絵に対して母は「ガチャピンは緑なんよ!なんで金色に塗ったんよ!?」と、とても驚いている様子です。

状況を呑み込めないぬこー様ちゃんさんは、怒られてるのかと困惑します。そんなぬこー様ちゃんさんをそっちのけに母は、絵を見つめながら「間違いねえわ、天才の発想じゃ......」と、呟きます。母は、ぬこー様ちゃんの才能に感心していたのでした。

「あんたきっと絵の才能があるわ!間違いねえわ!」と母にとても褒められたぬこー様ちゃんさんは、その日から毎日絵を描くようになります。

母に褒められたい一心で絵の技術がメキメキ上達したぬこー様ちゃんさんは、もう母の賞賛だけでは満足できなくなっていました。そこで、より多くの人に認められようと、トレースを覚えて人気キャラを上手に描くなど試行錯誤していました。その甲斐あって、「クラスでイチバン絵がうめぇやつ」の地位を得ることに成功します。

絵が上手いと周りから言われ続けることで、将来漫画家になれると考え始めた小学3年生のぬこー様ちゃんさんは、同級生のカゲプチに自身の夢を打ち明けます。しかし、冷静なカゲプチからは「無理じゃと思うよ。おめえ頭悪いし」と言われてしまうのでした。この頃のぬこー様ちゃんさんは、授業中も絵しか描いていなかったため、成績は悪かったそうです。

それからぬこー様ちゃんさんは勉強も頑張りつつ、まずはと50個のボールを集めて願いを叶える冒険漫画(未完)を描きました。頑張って描いた漫画でしたが、カゲプチに見てもらうと「ゴミ」と一蹴されます。

ショックを受けるぬこー様ちゃんさんに、カゲプチは「そもそもおめえ、漫画はボールペンで描くもんじゃねえ。万年筆じゃけえ」とアドバイスするところで話は終わります。

コメント欄には「個性を褒めたお母様がえらくて素敵」「今の仕事ができてるのはカゲプチのお陰でもあると声を大にして言いたい」などの声が寄せられています。そんな同作について、作者のぬこー様ちゃんさんに話を聞きました。

■この漫画がバズったことでカゲプチとその母からDMが来ました

ー同作を描いたきっかけなどあれば。

きっかけは単純に思い出したからです!

ーお母さまはぬこー様ちゃんさんが漫画家の道に進んだことをどのように受け止めているのでしょうか。

母も父も僕のやることを止めたことが一度もないですが、心配はずっとしてくれてます。母は定期的に「仕事がちゃんとあるのか?」とLINEで心配してくれますし、父に至ってはXを監視しているので炎上したら心配してくれます。

ーカゲプチ君とはその後、仲良い関係は続いたのでしょうか。

中学までずっと一緒でした。中2くらいの時、うざ絡みしてローキックされたことがあります。人生で一番効いたローキックでした。高校は数学塾だけ一緒でした。その後は全く会うことなくお互い何してるか知らなかったんですが、この漫画がバズったことで本人からDMが来ました。そしてカゲプチのお母さんからもDMが来ました。地元で広まりすぎて妹の友人からもDM来ました。

ー漫画家の夢をかなえた現在、当時の自分に何かメッセージがあればお願いします。

小学校の卒業文集ではもう漫画賞に応募して大賞受賞して即デビューして高校卒業する頃には売れっ子作家になる予定でしたが、だめでした。でもまあなんとか時間かけて漫画で生活できるようになったのでよし。

(海川 まこと/漫画収集家)