ペットの訃報を知ったとき、飼い主だけでなく見守ってきた人たちも寂しい思いをするでしょう。イラストレーター・エッセイ漫画家のキリさんの作品『snsでペットの訃報を知った時の私』では、SNSでペットを見守ってきた側からの苦悩が描かれています。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約1.1万もの「いいね」を集め大きな注目となりました。
ある日何気なくSNSを眺めていた主人公は、いつも見ていたペットのアカウントに「〇〇ちゃんお空へ行きました…」との書き込みを見つけます。驚いて飛び起きた主人公は、「さみしいね…」と思わず壁に顔を当ててしまいました。
つらい飼い主になにかコメントをしようと思った主人公でしたが、「コメント…なんて書く?」と考えます。「私もショックだけど、飼い主さんは比べものにならないぐらいショックだろうし…」主人公は飼い主になにを言うべきか、言わない方がいいのか、それとも他人からの言葉はいらないのか悩み続けました。
1週間後、飼い主がSNSで「あれから少し落ち着いてきました」とつぶやきます。言葉を選べず歯がゆい思いをした主人公は悩み抜いた末に「せめて私ができること」として、すかさず「いいね」を押すことしました。
主人公は「飼い主のこれからの幸せも願っている」という思いが伝わってほしいと願いながら、「いいね」を押すのでした。
この投稿にSNS上では「すっごい同感」や「自分はコメントで気持ちが救われた」など、どう反応してくれたら嬉しいかをめぐる議論が起こっています。そこで作者のキリさんに話を聞きました。
■正解はひとつではない。だからこそ、自由にリアクションして欲しい
-なぜこのような投稿をされたのでしょうか?
今回投稿したのは、まさにXで応援していたわんちゃんの訃報があったからでした。
朝から晩まで…だけでなく、夜中もずっと老犬介護をがんばってこられた飼い主さんと、19歳という立派な長寿で見事に生き抜いたわんちゃん。
悲しみの最中だと思いますが、これからもその飼い主さんの幸せを心より願うばかりです。
…でもそれは私なんかよりきっと、お空からわんちゃんが1番思ってることなんですよね、笑顔でいてほしいって。
そしてそれは飼い主さんもわかってらっしゃると思うんです。
ですから…やっぱりどうしても言葉が出なくなってしまいます、ああもどかしい。
-多くの共感コメントが寄せられていましたが、特に印象に残ったコメントなどはありましたか。
コメントくださったみなさんありがとうございました。みなさんの受け止め方がすごくわかって、「そうだよねそうだよね…」と思いながら1つずつ読ませていただいてました。
ペットを飼ったことがない方でも共感してくださってて、その方は亡くなったペットちゃんのことは詮索せず飼い主さんの分の仕事を請け負う行動をとられたようで「あぁ、これも1つの正解だな」と学ばせていただきました。
-「いいね」や「コメント」の受け止め方は人それぞれだと思いますが、作品を通して読者にどんなリアクションをしてもらえたら嬉しいですか。
自由にリアクションしてもらえたらいいなと思います。
泣きながら描いた作品でしたので、“代弁してくださりありがとうございます”とのお言葉を頂いた時、このなんとも言いがたい苦しみや悲しみが少しでも分かち合えたのかな..と思いました。ありがたいです。
(海川 まこと/漫画収集家)