みなさんは、職場でどこまで本音を言えていますか。新入社員として働き始めたAさんは、同期の男性たちが発する“率直すぎる”言動にたびたび驚かされたといいます。本音と無礼の境目、その受け止め方には、男女で少し感覚が異なるのかもしれません。
■同期の男性社員らの「無礼講」が怖すぎる
関東在住のAさん(20代、会社員)は、準大手と呼ばれるメーカーに営業職として新卒入社しました。
大卒の新入社員は毎年およそ30人で、そのうち半数以上が東京本社に配属され、ここ数年は男女比もほぼ同数が続いているといいます。
いわゆる「ホワイト」とされる職場環境で、有給消化率の高さや新卒3年後の離職率の低さにも魅力を感じて入社を決めたそうです。
説明会や面接で出会った先輩社員や上司も優しそうな雰囲気の人が多く、そこそこの給料とほどよい企業規模。「この会社なら長く働けそう」と今も感じている一方、ひとつだけ気がかりなことがあります。
それはAさんの同期の男子社員何人かの「爆弾発言」について。
「いくら先輩たちが優しくしてくれるからって、そんなこと言っちゃダメじゃない!?」とヒヤヒヤする発言が多すぎて、普段は別々の課で働く同期が集まる席に行くのが不安になってきているのだとか……。
■「本音を言えないなんておかしくないですか?」
Aさんが最初に同期の男性たちに驚かされたのは内定者集合での懇親会のことでした。
人事部長から「今日は同期の皆さん同士の交流と、入社前の不安解消が目的です。いろいろな部署の先輩社員も来ていますから、気軽に話してくださいね」と案内があったものの、Aさんは「社会人になる自覚をもって、失礼のないように接しよう」と思っていたそうです。
しかし、懇親会が進むうちに、数人が次第に声を大きくし始めました。
「部長!ぶっちゃけ配属教えて下さい!ほんとはもう決まってるんでしょ?」
(配属は研修後に決まる!って、何度も説明されているのに…?)
「正直地方は嫌です、万が一地方になったら辞めるかもしれません」
(じゃあ別の会社に行ったらいいのに!そんなこと言っても先輩困るだけだよね??)
「〇〇先輩って営業っぽくないっすね~」
(どう見ても褒めてるように聞こえないんですけど……失礼すぎる……)
入社後も、はじめて参加した全体会議で「この考えている時間って無駄だと思うんですけど」「意見ならアンケートフォームで集約するだけでよくないですか」といきなり会議のやり方にケチをつけていた同期社員ら。電話での問い合わせ対応でも「もう少し要点をまとめてもらっていいですか?」とお客様に言っている場面に遭遇し、失礼さ加減に衝撃を受けました。
Aさんは、こうした発言や対応を繰り返す同期の多くが男性であることに、あらためて気付いたといいます。「場の空気を読まない」「正直=常に美徳だと思っている」--そうした言動には、どこか似た価値観がにじんでいるようにも見えました。
「先輩もお客様も今は笑って流してくれているけれど、周囲はヒヤヒヤしています。私もいずれ先輩になるのに、後輩がみんなこのタイプだったらつらいです。注意したらパワハラって言われそうで、今から不安を感じてしまいます」
■明確な男女差?ダブルスコアで「場の空気を読まずに発言する」
ソニー生命保険株式会社が発表した「社会人1年目と2年目の意識調査2025」によると、《場の空気を読まずに発言すること》について「アリ」と答えたのは全体で34.0%、「ナシ」は66.0%と、「ナシ」派が多数を占めました。
一方、性別で比較すると、「アリ」と答えた割合は男性46.0%、女性22.0%と24ポイント差で、ダブルスコアの結果となっています。
「正直は美徳」とする価値観にも、男女間で少し温度差があるのかもしれません。
【参考】
▽ソニー生命保険株式会社-社会人1年目と2年目の意識調査2025
https://www.sonylife.co.jp/company/news/2025/files/250415_newsletter.pdf
◆沼田 絵美(ぬまた・えみ)人材業界や大学キャリアセンター相談業務などに20年以上携わる国家資格キャリアコンサルタント。