株式会社マイナビ(東京都千代田区)は、このほど「マイナビ 最低賃金に関する調査レポート(2025年)」を発表しました。同調査によると、アルバイト就業者が適正だと思う最低賃金は「1200円」である一方、企業が適正だと思う最低賃金の全国平均額は「1117円」で、2025年度の最低賃金の全国平均額(1121円)を下回ることがわかりました。
調査は、全国の15~69歳の男女(中学生を除く)のうち、アルバイトで働いている人、および従業員数10人以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員のうち、自社の非正規雇用労働者の採用方針について把握しており、アルバイトを雇用している採用担当者を対象として、2025年9月にインターネットで実施されました。
なお、調査開始時の2025年9月1日は、2025年度の都道府県別の最低賃金額が決定していなかったため、2025年度最低賃金引き上げの目安額(全国平均63円)を基準として設問文を作成し、聴取しています。
はじめに、アルバイト就業者に対して「適正だと思う最低賃金の全国平均額」を聞いたところ、「1200円」となり、「現在の時給(1166円)」と「適正だと思う最低賃金の全国平均額」とで34円の差が見られ、また、「仕事に見合うと思う理想の時給」は「1327円」で、現実との差は161円となりました。
アルバイト就業者のうち、「最低賃金の地域格差を感じる」と答えた人は70.9%となり、エリア別では、「東北」(80.7%)や「九州」(79.8%)で割合が高くなりました。
最低賃金の近隣都道府県間の格差、時給水準の近隣自治体間の差がある中、「時給が高い近隣地域でアルバイトをしたいと感じたことがある」と答えた人が43.6%にのぼり、6人に1人以上「時給が高い近隣地域に越境してアルバイト経験がある、いわゆる「越境バイト」(17.9%)を行ったことがあることがわかりました。
また、「2025年度の最低賃金改定への期待」について聞いたところ、「自身が希望する時給額になること」は「期待できない」が65.2%、「私生活が豊かになること」は「期待できないが72.2%、「仕事への意欲が高まること」では「期待できない」が69.8%となり、2025年度の最低賃金改定による効果は仕事・私生活どちらも限定的と考える人が多いことが明らかとなりました。
他方、アルバイトを雇用している企業の採用担当者に対して、「適正だと思う最低賃金の全国平均額」を聞いたところ、全体の平均は「1117円」で、2025年度の最低賃金の全国平均額(1,121円)を4円下回り、業種別では「小売」(1089円)、「飲食・宿泊」(1083円)で金額が低くなりました。
また、「2025年度の最低賃金改定による雇用への負担の予想」を聞くと、76.0%が「負担となる」と予想しており、業種別では「インフラ」(85.4%)や「製造」(82.7%)、「医療・福祉」(82.4%)で8割を超え、企業規模別では「300人未満」で高くなりました。