1本の川の、始めから終わりまでを一望できる。そんな珍しい光景を見られる川が、和歌山県にある「ぶつぶつ川」だ。長さ13.5メートルと、二級河川では日本一短い川なのだ。
■観光スポットとしてもPRされている
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町粉白に、日本でいちばん短い川「ぶつぶつ川」がある。長さはわずか13.5メートル、幅1メートルほどの二級河川である。名の由来は、湧水が水源で気泡を伴って沸々(ふつふつ)と湧き出ている様子から、古来より地元で「ぶつぶつ川」の愛称で親しまれていた。
ひとくちに「川」といっても、法的にさまざまな基準で細かく区分されている。「ぶつぶつ川」は河川法に基づく管理区分でいう「二級河川」の中で、日本一短い川とされているのだ。
「ぶつぶつ川」が日本一短い川として知られるようになったのは、2008年10月21日に二級河川に指定されたことがきっかけとされているが、地元ではすでに清流としておなじみだった。水道が整備される前は、飲み水にも利用されていたという。川のほとりには「みずのみば」「やさい」と記された、木製の表示板も設置されている。草に半ば埋もれて見づらいが、「ぶつぶつ川起点」を示す表示もある。
那智勝浦町役場によると「水道が整備されてからは、飲み水としてはあまり利用されておらず、野菜を洗ったり水浴びをしたりするなどの利用がされております」とのこと。実際、真夏の猛暑日には、子どもたちが水浴びをすることがあるそうだ。
地元での存在感は、指定前後で大きな変化はないとのことだが、二級河川に指定された後は「日本一短い」ことが全国的にPRできるため、看板の設置や環境整備を行っているという。
「指定後は、メディアやクイズなどに『ぶつぶつ川』をとり上げていただくことが多くなり、訪問客が増えました」
「ぶつぶつ川」は、那智勝浦町のホームページにも観光スポットとして紹介されている。
「川の始まりから終わりまでを一望できる川なので、ベンチに座って風景を眺めてほしいです。滞在時間も短く、簡単に見ることが出来る日本一を体験してください」
余談ながら「一級」河川で日本一長い川は、長野県から新潟県を経て日本海へ注ぐ「信濃川」(367キロメートル)。同じく日本一短い川は、静岡県清水町を流れる「柿田川」(1.2キロメートル)とされている。
なお、那智勝浦町には、落差133メートルの「那智の滝」や、一度も冷凍されていない「生まぐろ」の水揚げ量日本一を誇る勝浦漁港、富士山が見える「最遠の地」など、様々な日本一がある。
そのうちのひとつとして、日本一短い川へもフラッと立ち寄ってみてはいかがだろうか。
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)
























