遺棄されたのは、黒猫3匹(「寝屋川さくらねこの会」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)
遺棄されたのは、黒猫3匹(「寝屋川さくらねこの会」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)

大阪府寝屋川市で11月18日、保護猫ボランティア団体「寝屋川さくらねこの会」の会員宅の玄関前に、黒猫の子猫3匹が段ボール箱に入れられたまま遺棄されていた。Instagramへの投稿には大きな反響が寄せられている。

会員さんが朝7時半に門を開けたところ、宅配の置き配かと思う段ボール箱が目に入った。しかし横に布が落ちているのを不審に思い、中をのぞくと…黒い子猫3匹が並んでこちらを見ていたという。

「え? うそ!と思いました。すぐ目の前は車通りの多い道路。蓋も開いていたので、もし1匹でも外に出ていたら……と考えて背筋が凍りました」(保護した会員さん)

■震えながら排泄、耳ダニ、外耳の出血… 劣悪な状態の3匹

子猫はすぐにケージに移され、ヒーターで保温。トイレを入れると3匹が我先にと排せつしたことから、長時間我慢していた可能性が高いという。

診察の結果、3匹全員がエイズ・白血病ともに陰性。大きい雄の1匹は目やにと元気のなさがあり、抗生剤が処方された。他の2匹(雌)は比較的健康状態が良好だった。一方で、3匹全員の耳が真っ黒に汚れており「耳ダニのふんで穴が塞がるほど」だったという。外耳に傷があり出血も見られ治療が行われた。

今後は別の保護団体へ移籍し、里親募集を進める予定だ。

■「捨てた本人に伝えたい」保護活動者の胸中

今回の遺棄は、約10年間の活動の中で初めてのケースだという。

保護した会員さんは、捨てた人物へこう訴える。

「保護団体に置けば助かると思っているのかもしれません。でも譲渡までに医療・食費・世話にどれだけの負担があるか、想像してほしいです。簡単ではありません。母猫の避妊手術さえしていれば防げた命です。望まれない命を増やさないでほしい。手術は当会で受け付けます。相談してください」

さらに、今回の遺棄について警察と保健所へ相談した際、「保護猫カフェや保護活動家の家に置くのは遺棄ではありません」と言われたといい、「どこに捨てても遺棄だと思います」と強く訴えた。

■問題は“子猫を捨てること”では解決しない

投稿では、「猫の繁殖力がすごくて困っていると思います。今回の子猫を捨てても何も解決しません。母猫はすぐに発情します」と警鐘を鳴らしている。

活動者から読者へのメッセージは、

「相談できる場所はあります。一人で抱え込まず、保健所・社会福祉協議会・地域包括センター・保護団体に相談してください。動物と暮らしたいと思ったときは、保護犬・保護猫・保護うさぎを選択肢に入れていただけたらうれしいです」

■SNSでは怒りと祈りの声

投稿のコメント欄には、たくさんの声が寄せられている。

「助けてくれてありがとう」
「怒りしかない。こんなことやめて」
「どうか幸せなおうちが見つかりますように」
「本当に捨てないで…ひどすぎる」

子猫3匹は一命を取りとめた。しかし、団体は「このままでは同じことが繰り返される」と警告している。

「母猫の避妊・去勢をするだけで、望まれない命は確実に減ります。行動を止めたら終わらない問題です」

命を守るのは、特別な人だけではなく、社会全体--この投稿はその現状を突き付けている。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)