宮崎県延岡市の農地で11月、整地作業をしていた「HirokA」さん(@HirokA_world)が、見覚えのない段ボール箱を発見した。蓋の上には石のような重しが置かれ、横の小さな穴から子猫の顔がのぞいていたという。
「我が家の農地を整地中で気づくと見覚えのない段ボールがそこに…
こんな心無いことして💦」とX(旧Twitter)に投稿すると、大きな反響を呼んだ。投稿には「酷すぎる」「もし気づかなかったら命が危なかった」といった声が相次いでいる。
HirokAさんに状況を聞いた。
■「蓋の上に石。穴から子猫が顔を…」
段ボール箱を見つけた瞬間、異変はすぐ分かったという。
「私が見つけた時には、蓋の上に石のような重しが置かれ、横の穴から子猫が顔を出していました」。箱の中には生後まもないとみられる子猫4匹。近所の人がそのうち2匹を引き取ったが、残る2匹はHirokAさんが保護した。
■自然の脅威も…「放置すれば、鳥にさらわれていたかもしれない」
農地のある地域では、トンビやカラスなどの鳥類が多く、小動物が狙われることも珍しくないという。
「鳥に連れ去られ、落下して命を落としたり、食べられたりする危険もあります。小さな声で鳴いている姿を見て、本当にかわいそうでした」
自然だけでなく、人間による虐待のリスクも心配だったと話す。
■「とりあえず温かく」倉庫で保護
保護した2匹は、倉庫内に大きめの段ボール箱を用意し、新聞紙と布で温めながら世話をしているという。
「まだ親が必要な時期。とにかく温かくして、しばらくは私が面倒を見るつもりです」
地域では、去勢した猫の耳をV字にカットする「サクラ猫」として見守る仕組みがある。里親が見つからなければ、その選択肢も視野に入れていると話す。
■「去勢も人間の都合。だけど、増えて困るのも事実」
地域猫として見守る選択肢について尋ねると、複雑な胸の内も語ってくれた。
「去勢するのは人間の都合でもあります。五体満足で生まれてきた命に手術をするのはかわいそうという思いもあります。でも、猫が増えて困るのも現実。できれば、本当に可愛がってくれる里親さんに出会ってほしいです」
■「動物保護団体は冷たい」という声も
過去に別の動物を保護した際、相談した団体が対応できないこともあったと話す。
「相談件数が多いのは分かりますが、意外と冷たく感じることもあります。今回も頼れる場所が多くないのが正直なところです」
限界を抱えながら活動する団体も多く、負担が個人に集中してしまうケースは全国で後を絶たない。
■SNSには怒りと感謝の声
投稿には、怒りと感謝の声が広がっている。
「酷い」「信じられない」「助けてくれてありがとう」。
特に、蓋に重しが置かれていた点には「逃げられないようにしたのか」「命を奪う行為だ」と批判が相次いだ。
■「まずは、この子たちが幸せに」
最後に、HirokAさんはこう語った。
「先のことはまだ分かりませんが、どうか優しい人に出会ってくれれば。これからも見守りながら、責任を持って世話をしていきます」
ひっそりと置かれた段ボール。その中にいた小さな命は、偶然の発見によって救われた。新しい家族との出会いが訪れることを願いたい。
※後日、捨てられていた段ボール箱の近くで新たに黒猫が1匹見つかった。HirokAさんがその様子をXに投稿したところ、投稿を見た福岡県在住の方が名乗り出て、里親として黒猫を引き取ってくれたとか。また、先に保護された2匹の子猫についても里親希望者が現れ、近々引き取りに来る予定だという。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
























