この痛みや腫れは手術のせいなのでは?(うみの韻花さん提供)
この痛みや腫れは手術のせいなのでは?(うみの韻花さん提供)

綺麗になりたいという気持ちは誰もが持っているもの。勇気を出して受けた整形で思うような結果にならなかったり、体調を崩してしまったりするケースは少なくありません。X(旧Twitter)でうみの韻花さんが投稿している『鼻整形したら直美(ちょくび)の医師にバカにされた話』ではフォロワーさんの体験をもとに漫画化し、大きな話題となっています。

物語の主人公は、鼻の美容整形後に耳の痛みや顔の腫れなどの症状に悩まされる女性。さらに発熱もあり、クリニックへ電話するものの休診日で連絡が取れません。仕方なく公式LINEにメッセージを送ると、「薬の影響なので様子を見てください」と返信がありましたが、女性は納得できず、不安は増すばかり。

その後も体調は回復せず、翌日ようやく少し落ち着いたものの、痛み止めが切れてしまいます。やむを得ずネットで鎮痛剤を購入し、食事も取れないまま1週間寝たきり状態に。

そして抜糸当日、女性がまだ耳が痛いことを告げると「徐々に治ってくる」と医師は軽い返答をするだけです。しかも完成した鼻を確認すると鼻先は上がり、鼻の穴が目立つ状態になっているのに愕然とします。これについて、医師からは「1カ月ほどで徐々に下がってくる」と説明されます。しかしホームページには1週間で落ち着くと書かれており、その差に強い不安を感じるのでした。

それから1カ月後、期待していた二重も鼻の形も思っていた仕上がりにはならず、それでも「先生が言っていたから」と自分を納得させ、自然に馴染むことを願いながら日々を過ごします。しかし、後に明らかになったのは、その医師が“直美”と呼ばれるタイプの医師だったということ。

“直美”とは、医学部を卒業して初期研修を終えたあと、保険診療の現場を経ずに美容外科へ直接就職する医師のこと。十分な臨床経験がないまま手術を行うため、トラブルの原因になりやすいといわれています。

その後も女性は「鼻が腫れている」「耳が痛む」と訴えますが、医師は以前の自分の顔を引き合いに出して冗談めかして笑うだけ。不信感が募るなか、女性は鼻の内部に腫れを見つけるのでした。

読者からは「術前のことをどうこう言われるの嫌だよね」や「直美っていうんですね」など多くの声が集まっています。そんな同作について、作者のうみの韻花さんに話を聞きました。

▽体験者さんのリアルを漫画に!「実態をより多くの人に届けたい」

ーこの体験談を選んだきっかけがあれば教えていただきたいです!

制作のきっかけは、以前からXで整形に関する情報を発信されていて相互フォロワーでもある、かわうぽさんが今年の春頃に投稿されたポストを拝見したことでした。かわうぽさんの今までの美容整形での失敗の経緯を知り、ぜひこのお話を漫画にさせていただけないかと、私からDMで直接お声がけしました。彼女自身も、この美容整形の実態をより多くの人に届けたい願いがあるので、私もこの作品によって少しでも力になれればと思います。

ー作品を読んだ方からの反響で、印象に残っているものはありますか?

整形をしたことがない人でも、「もしこれが自分だったらと思うと怖くなりました」と、主人公に共感して下さったり、中には「プチ整形でも気軽なものだと思ってました。もしやるとしても慎重にしようと思います」などのコメントも。安易な美容整形に対する注意喚起にもつながったので、意図した結果となり良かったです。

ー医師やクリニックを信頼できるかどうか、どうやって判断するのが良いと思われますか?

医師の経歴を事前に確認し、そこで見るポイントとしては、①美容外科医に勤務年数や症例数の確認②JSAPS(日本美容外科学会)に所属していること③カウンセリングは丁寧に時間をかけてくれてリスク説明もしっかりしてくれる、などが重要だと思ってます。

クリニックに関しても、例えば『当日契約すれば割引します』といったやり口や、オプションの追加で広告で見た値段の数倍高くなってしまったり、望んでもいない施術を強制的に勧めてくるクリニックには注意した方が良いと思います。

(海川 まこと/漫画収集家)