ルール無視で道路に雪をまき散らす隣人 ※この画像はAdobe Fireflyで作成したイメージです
ルール無視で道路に雪をまき散らす隣人 ※この画像はAdobe Fireflyで作成したイメージです

雪深い地域に住むAさんは、毎朝の重労働である「雪かき」に追われています。腰を痛めながらも、近隣の迷惑にならないよう、敷地内の決まった場所に雪を積み上げるのがAさんの日課です。

しかし、隣の家に住むBさんのやり方は正反対でした。Bさんは自宅の駐車場に積もった大量の雪を、全て目の前の公道へと放り投げて済ませているのです。そのせいで道幅が狭まり、踏み固められた雪はボコボコの氷塊となって、車がすれ違うのもやっとの状態です。

耐えかねたAさんが「危ないので道路に捨てないでください」とやんわり注意しても、Bさんは「雪なんて放っておけばすぐ溶けるだろ」「いちいち細かいんだよ!」と聞く耳を持ちません。

このBさんの身勝手な行為は、単なるマナー違反で済まされるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

■道路に雪を捨てるのは「道路交通法」違反

ー自宅の雪を道路に捨てる行為は、どのような法律に触れるのでしょうか?

道路に雪を捨てる行為は「道路交通法」違反に該当する可能性があります。

同法第76条第4項では「道路において、交通の妨げとなるような方法で物件をみだりに置いてはならない」と定められています。雪は放置すれば凍結してスリップ事故を招いたり、道幅を狭めて通行を困難にしたりするため、明らかに「交通の妨げ」とみなされます。

また、状況によっては「軽犯罪法」にも抵触しかねません。同法第1条第27号では「公共の利益に反し、みだりに道に物を置いて、通行を妨げた者」を処罰の対象としています。

さらに、万が一その雪が原因で車がスリップして通行人が怪我をした場合、雪を捨てた本人は「過失傷害罪」に問われるほか、多額の損害賠償を請求されるリスクもあります。

ー実際に違反とみなされた場合、どのような罰則が科される可能性がありますか?

道路交通法違反(道路における禁止行為)の場合、「5万円以下の罰金」が科されます。また、軽犯罪法違反であれば「拘留(1日以上30日未満の施設収容)または科料(1,000円以上1万円未満の支払い)」となります。

「たかが雪で」と思うかもしれませんが、これらは立派な刑事罰です。特に注意を受けても繰り返すなど悪質性が高いと判断されれば、警察が動くケースも十分に考えられます。

ー法律以外に、自治体のルールで禁止されている場合もあるのでしょうか?

雪国を中心とした多くの自治体では、独自の「雪対策条例」を制定しています。例えば、北海道や新潟県などの各市町村では、道路への雪出しを明確に禁止しており、パトロール隊による指導が行われている地域も多いです。

条例では、道路だけでなく「流雪溝(雪を流す溝)」や「河川」への不適切な投棄を禁じている場合もあります。

ー困っているAさんは、今後どのように対処すべきでしょうか?

まずは、現場の状況を写真や動画で記録しましょう。その上で、自治体の道路管理課や警察の相談窓口(#9110)に通報し、第三者から客観的に「法に触れる行為である」と注意してもらうのが効果的です。

Bさんのような「自分さえ良ければいい」という考えは、重大な事故を引き起こす引き金になります。地域の安全を守るためにも、毅然とした対応が求められます。

◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)