民間企業の雇用分野における「合理的配慮の義務化」から10年。障がいを持ちながら働く人はどのように感じているのでしょうか。レバレジーズ株式会社(東京都渋谷区)が運営する障がい者就労支援サービス『ワークリア』が実施した「障がい者雇用における合理的配慮」に関する実態調査によると、法改正による職場でのポジティブな変化について、約7割が「実感していない」と回答し、課題の残る実態が明らかになりました。
調査は、会社員として勤務している障がい者196人(身体障害者手帳取得者51人、精神障害者保健福祉手帳取得者145人)を対象として、2026年2月にインターネットで実施されました。
調査の結果、現在の職場で提供されている「合理的配慮」に対して、「満足している」とした人は43.9%と半数を下回ったほか、「提供されている実感がない」(8.2%)と答えた人も一定数見られ、改善の余地がある現状が見受けられました。
また、「合理的配慮が義務化されたことによる変化」については、約4人に3人が「変化の実感がない」(74.0%)と回答。
これを障がい種別ごとで比較すると、「変化を感じる」とした割合は、身体障がい者が35.3%なのに対し、精神障がい者は22.7%と、障がい種別によって約12ptの差が開いていることがわかりました。
続けて、「直属の上司の障がいに対する知識や向き合う姿勢」について聞いたところ、約6割が「知識・理解ともにある」(57.2%)と回答。
「上司は知識・理解ともにある」と答えた割合を障がい種別で見ると、身体障がい者は70.6%であるのに対し、精神障がい者では52.4%に留まります。
■困りごとが発生した場合に「躊躇・断念」してしまう精神障がい者は約3割
また、新たな配慮を求めたい時や困りごとが発生した場合に「会社側に伝えられる」とした人は75.5%。一方、未だ約4人に1人は「躊躇してしまう」(18.9%)、「伝えられない」(5.6%)と回答しました。
特に、精神障がい者のうち「躊躇・断念」(29.0%)してしまう人は約3割にのぼり、身体障がい者(11.9%)と比較すると約3倍にのぼることがわかりました。
「会社に伝えにくいと感じる理由」としては、「上司や同僚が忙しそうで、時間を取るのが申し訳ない」(56.3%)や「過去に伝えても改善されなかった、または嫌な顔をされた」(52.1%)のほか、「わがまま・甘えと思われそう」「人事評価や契約更新に悪影響がありそう」(いずれも43.8%)といった意見が挙げられ、過去のネガティブな経験が、現在の「伝えにくさ(心理的障壁)」に影響しているケースが見受けられました。
他方、「現在、職場で実際に受けている配慮」としては、「通院・休暇の柔軟性」(54.1%)、「業務内容・量の調整」(35.2%)、時差出勤やリモートワークなどの「通勤への配慮」(25.5%)が上位に挙がりました。
そこで、「適切な合理的配慮を受けることで仕事のパフォーマンスは変化しましたか」と尋ねたところ、「精神的に安定し、意欲的に業務に取り組めるようになった」(54.7%)や「体調が安定し、欠勤や遅刻が減った」(45.3%)といった働く上での土台が整ったという回答に加え、「ミスが減り、質が向上した」(36.0%)などが挙げられ、適切な配慮が単なる安定就労に留まらず、企業の生産性向上に直結している実態が明らかになりました。
また、「配慮を求めた際の企業の対応」については、約半数が「真摯に対応してくれた」(50.5%)と回答した一方で、「形式上だけで真剣に取り合ってもらえなかった」(12.8%)や「話すら聞いてもらえなかった」(3.6%)という声も一定数存在し、企業ごとに向き合う姿勢の差が浮き彫りとなりました。
最後に、「今後、もっと会社に充実・実施してほしい配慮」を尋ねたところ、「通院・休暇の柔軟性」「周囲の理解促進」(いずれも31.1%)が上位に挙がり、周囲が障がいへの理解を深めることで、職場における働きやすさが向上すると考えている当事者が一定数存在することがうかがえる結果となりました。
◇ ◇
このような調査結果を踏まえて同社は、「精神・発達障がいの特性に応じた接し方やマネジメントを現場で迷わず実践できる状態にまで引き上げることは決して容易ではなく、適切に外部の知見を取り入れることが有効であるケースも多く見られます。専門的な知見を持つ『第三者』が、当事者と現場の間で特性を適切に翻訳・調整する役割を担うことは、双方の負担を軽減し、相互理解が進む一助になると考えられます」と述べています。
























