都内で暮らす43歳の女性、森川くみこさん(仮名)。パート勤務をしながら、会社員の夫と中学2年生の息子との3人で暮らしています。
下痢と腹痛が続き、時には血便もみられたため心配になり受診したところ、指定難病のひとつである潰瘍性大腸炎と診断されました。
今後は定期的な通院に加え、症状を抑えるための薬を長期間服用する必要があると医師から説明を受け、森川さんの頭に浮かんだのは治療そのものへの不安だけでなく「この先、医療費はどれくらいかかるのだろう」という金銭面の心配でした。
指定難病と診断されると、今後の治療や医療費のことで心配になる人もいるでしょう。特定医療費助成制度の仕組みを知っておくと、金銭面の負担を軽減できる場合があります。診断後、まず何を確認すればよいのでしょうか。
■潰瘍性大腸炎も対象…「指定難病」への公的支援とは
国は「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき、発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない、希少で長期の療養を必要とする難病のうち、患者数や診断基準などの要件を満たすものを「指定難病」として定めています。
2026年4月時点で指定難病は348疾病あり、潰瘍性大腸炎もそのひとつです。ただし、指定難病と診断されたからといって、全員が医療費助成の対象になるわけではありません。
助成を受けるには、疾病ごとに定められた重症度基準(重症度分類)を満たしていることが原則になります。また、この基準を満たさない場合でも、医療費の負担が継続的に高額になる「軽症高額該当」の要件を満たせば対象になることがあります。
どちらに該当するかは、疾病ごとの基準や個々の症状によって異なります。診断書や申請書類などをもとに、都道府県等が支給認定を行います。
■まず何をすればいい?申請までの流れ
◆指定医に臨床調査個人票(診断書)の作成を依頼
助成の申請には、都道府県知事等が指定した「難病指定医」による臨床調査個人票(診断書)が必要です。この書類は疾病ごとに様式が異なり、作成できるのは指定医に限られるため、まずは自分の主治医が指定医かどうかを確認しましょう。
◆保健所など自治体の窓口へ申請
個人票がそろったら、住んでいる地域を管轄する保健所など、都道府県・指定都市が定めた窓口へ申請します。支給認定申請書のほか、住民票、医療保険の加入状況や課税状況を確認できる書類などが必要になる場合もあるため、事前に窓口へ電話などで確認しておくと安心です。
審査を経て認定されると「特定医療費(指定難病)受給者証」が交付されます。医療費助成は、原則として重症度基準を満たしていることを、診断した日までさかのぼって適用されます。ただし、さかのぼれる期間は原則として申請日から1カ月前までで、申請が遅れたことにやむを得ない理由がある場合は最長3カ月前までです。
◆自己負担の仕組みも窓口で確認を
認定後は、指定難病に関する対象医療費について、医療保険上3割負担の人は自己負担割合が2割になります。もともとの自己負担割合が1割または2割の場合は、その割合が適用されます。
さらに、所得区分に応じて1カ月当たりの自己負担上限額が設定されます。一般の受給者の場合、上限額は月2500円、5000円、1万円、2万円、3万円のいずれかです。また、一定期間に高額な医療費がかかっている「高額かつ長期」に該当すると、所得区分によっては自己負担上限額がさらに低くなる場合があります。
上限額は、加入している医療保険上の世帯の所得区分などによって異なります。自分がどの区分に該当するかは、申請時に自治体の窓口で確認するとよいでしょう。
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森川さんは、主治医が難病指定医であることを確認したうえで臨床調査個人票を作成してもらい、住んでいる地域を管轄する保健所の窓口へ申請しました。申請の結果、加入している医療保険上の世帯の所得区分から、1カ月あたりの自己負担上限額は2万円となりました。
治療内容によって実際の支払額は異なりますが、月々の負担の上限が分かったことで、今後の医療費を見通しやすくなりました。医療費助成の対象になれば、負担を軽くできる場合があります。まずは主治医が難病指定医かどうか確認し、あわせて住んでいる自治体の窓口(保健所など)に相談することが大切です。申請窓口や必要書類は自治体によって異なる場合があるため、窓口や公的機関のホームページで確認しましょう。
【監修】鍋島 千紘(なべしま ちひろ)社会福祉士・保育士・Webライター。社会福祉士として12年間、障害・障害児福祉分野を中心に、直接支援や相談業務に従事。現場で培った知識と経験をもとに、専門性と正確性を大切にしながら、読者に寄り添ったわかりやすい記事の執筆・監修を行っている。
(まいどなニュース/もくもくライターズ)























