過去と現在とでは多くのことが変化しましたが、聴覚に障害のある方の視点から見ると、変化はまた違って感じられるかもしれません。自身も耳が聞こえないあかねさんによる作品『字幕が欲しかった子ども』では、映像作品を通して感じる過去と現在の変化が描かれています。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約9000のいいねが寄せられました。
ときは2000年代。耳が聞こえない8歳の少年・晴人は、偶然テレビで見かけた深夜アニメに心奪われます。内容が気になった晴人はリモコンの字幕ボタンを押しますが、このアニメには字幕が付いていませんでした。がっかりした晴人は、仕方なく登場人物がどのようなことをしゃべっているのか想像で補います。
それから時が経ち2010年代。中学生になった晴人は、近くのレンタルショップで気になるアニメ作品のDVDをレンタルします。しかし、このDVDにも日本語字幕が付いておらず、晴人はまたもやショックを受けました。晴人とその仲間たちは、「聞こえなくてもアニメを楽しみたいよな」と手話で会話を交わします。
それから7年の月日が経ち、サブスクリプションでアニメ作品を観る時代となりました。晴人はスマートフォンで新作アニメを観ようとすると、なんとどの作品にも字幕が付いていることにおどろきます。晴人は長年の夢が叶い、思わず一筋の涙をこぼしたのでした。
読者からは「自分も聞こえにくいからめっちゃ共感した!」「バリアフリーな社会になるといいなあ」などの声があがっています。そこで同作について、作者のあかねさんに話を聞きました。
■現代で感じることは「日本語字幕の上映を増やしてほしい」
-同作を描いたきっかけについて教えてください
実体験をもとに、聴覚障害やろうをテーマにした漫画を描こうと思い、最初に思いついたのがアニメにおける字幕のことでした。今はテレビや配信などアニメだけでなくあらゆる作品に字幕が付くようになり、耳が聞こえない・聞こえにくい人でも楽しめる作品が増えました。
しかし数十年前はアニメに字幕がなくて内容が分からなかったということを忘れず、字幕があることの喜び、そしてこれからも字幕が付くのが当たり前であってほしいということを伝えたくて漫画にしました。
-「現在は多くの作品で字幕が付くようになった」とのことでしたが、現在でも困っていることはありますか?
映画館で気になる邦画作品が公開されても、日本語字幕が付くのは1カ月後からということが多いです。また、日本語字幕付きが上映されても数日間のみとかなり期間限定なため、タイミングが合わず映画館で観れないことがあります。上映されても1日1回で、朝早くか夜遅くの回だということも珍しくありません。
そのため、映画館で観れなかった・観るのを断念した作品がいくつかあるので、映画館における日本語字幕の上映期間を長く、せめて上映回数を増やしてほしいです。(どうしても観たい時は字幕メガネを借用しますが、メガネに映し出される字幕と画面の位置を調整するのが大変で映画に集中できないため、できれば画面に日本語字幕がある状態で観たい派です。)
-あかねさんは、他にもろうについての漫画を描いていらっしゃるのでしょうか
今作も含めた、ろう者の実体験をもとにした漫画をまとめた『ろうの話』、きこえる親ときこえない娘との話を描いた『わたしの娘は耳がきこえない』、ろう学校のきこえる新人教師視点で描いた『ろう学校の日常』など、聴覚障害やろうをテーマにした漫画を描いています。
上記の3冊ともWEB上に公開しており、BOOTHにて自家通販もおこなっています。
(海川 まこと/漫画収集家)























