散々だった人生がゴミ拾いで良い方向に変わるの?(真由美さん提供)
散々だった人生がゴミ拾いで良い方向に変わるの?(真由美さん提供)

「徳を積む」といえば、仏教における善行として知られています。しかし、実際に意識して行動に移す人はそう多くないかもしれません。そんな善行を実践した「ゴミ拾い」によって、自分の人生と向き合うことになった体験を描いた漫画『ゴミ拾いで運命をぶち抜く話 1話・2話』(作:真由美さん)がpixivで注目を集めています。

それは主人公の観月こま子が、暗い部屋でひとりパソコン画面を見つめているときのことです。パソコン画面に映っていたのは、ある僧侶が話をしている動画でした。

彼が「運命をぶち抜くには善行!ゴミ拾いがいいですよ!」と笑顔で話すのを見て、こま子は「本当かな…」と疑いを持ちます。当時のこま子は、適応障害をきっかけに13年間勤めた会社を退職し、無職の状態でした。さらに同時期に婚約破棄も経験しており、人生の先行きに不安を抱えていたのです。

そこでこま子は「本当にゴミ拾いで人生が良い方向に変わるのか?」と、実際に試してみることに。

その後のある日、朝6時ごろに彼女はごみ袋とトングを手に街へ出向きました。そこでは想像以上に人通りが多く、「変な人だって思われないかな?」と人の目が気になってしまいます。それでも、タバコの吸い殻などを少しずつ拾っているうちに、次第に周囲の目が気にならなくなっていきました。

商店街を30分ほど回るころには、ゴミ袋がいっぱいになるほどにゴミが集まっていました。すると彼女に気づいた人が「ありがとうございます」と声をかけはじめます。見知らぬ人から感謝されたことに戸惑いながらも、ゴミ拾いを終えたこま子は、なぜか気分が良くなっていることに気づくのでした。

2日目も早朝からゴミ拾いを始めると「昨日あんなにゴミ拾ったのに、今日にはもうこんなに落ちてるもんなんだな…」と驚きます。さらに、長い間掃除されていないような排水溝を見つけ、その中に何年も放置されていたような古いビニールを発見しました。

これを見たこま子は「もしかしてお前が他のゴミを引き寄せたの?」と考え、タバコについても「道にゴミがたくさん落ちているから捨ててしまう?」と思いを巡らせます。一方で、ゴミが落ちていない道でもポイ捨てをする人もいました。それでも「ゴミのない道へ一石は投じれたかしら?」と、こま子は自分の行動に意味を見出します。

帰宅したこま子は、自宅の押し入れを開けて「こちらも一石を投じるか!」と片付け始めました。すると押し入れの中から、かつて好きだった「絵を描くための道具」が出てきます。こうして彼女は、ゴミ拾いをきっかけに身の回りの整理を始め、自分が本当に望んでいたのは「好きなことをラクに楽しくやる人生」だったと気づくのでした。

読者からは「この漫画を読んでからゴミ拾い始めました」や「運気を上げるにはまず掃除からとよく聞きますね」など、共感の声が多くあがっています。そんな同作について、作者の真由美さんに話を聞きました。

■なにかしら誰かに喜んでもらえたので、描いてよかった

-このテーマを作品として描こうと思われたきっかけを教えてください。

当時、人生があまりうまくいってなかったので(ゴミ拾いで変わるのか?)試したのがきっかけです。実際にやってみたところ、マンガに描きたいことがたくさん出てきたので描きました。

-同作制作の際に特に意識されたことや工夫されたことを教えてください。

主人公の「自分のためにゴミを拾っている」という軸がブレないように気をつけました。

-あらためて当時を振り返ってみて感じられることがあれば、ぜひお聞かせください。

マンガに描いて人に伝えたことで、なにかしら誰かに喜んでもらえたので、描いてよかったと思いました。

(海川 まこと/漫画収集家)