JR西日本が、神戸線大久保-魚住間での新幹線車両基地整備計画を断念した。計画が判明したのは2019年。その影響で予定地の明石市魚住町の農地では、農業効率化のための大規模なパイプライン整備が着手直前で凍結された。この5年で農家の高齢化や水路の老朽化が進み、関係者からは「計画に振り回された」とため息が漏れる。(谷川直生)
「パイプラインはすぐに整備できるのか」「高齢者は夏に水を張るのも大変なんや」。先月下旬、同町の柳井集落で開かれた会合で、農家から切実な声が上がった。本来は農業の地域計画策定に向けた話し合いの場だったが、同席した市職員らに対し、計画中止を受けた質問や要望が相次いだ。「農地をやめて市街化できないか」という意見もあった。
■7年がかり