阪急阪神ホールディングスの角和夫会長
阪急阪神ホールディングスの角和夫会長

 阪急阪神ホールディングス(HD、大阪市)の角和夫会長(75)は14日、大阪市内で開かれた定時株主総会で、宝塚歌劇団で団員女性が急死した事態を巡り、初めて公の場で謝罪した。株主に進退を問われ、来年にも退任する意向を示唆した。

 株主総会には約2千人が出席。議長を務める角会長は冒頭「多くの皆さまにご心配をおかけしておりますこと心よりおわび申し上げます」と3秒間頭を下げた。続いて同HDの嶋田泰夫社長が再発防止策について説明。「新しい歌劇団に生まれ変わったと認めてもらえるよう改革に取り組む」と決意を語った。

 質疑では、宝塚歌劇団の問題について厳しい質問や意見が相次ぎ、怒号が飛んだ。株主が退任を迫った際、角会長が「去就については自覚している。75歳でもあり、近々辞退をする」と語ると、会場からはまとまった拍手が起こった。「ただ来年まではこのままの体制でいかせていただく」と付け加え、総会の最後には再任に関する議案も承認された。

 ある男性株主は「なぜハラスメント行為をした団員が舞台に上がることができるのか」と強い口調で追及。阪急電鉄の大塚順一専務は「行為はハラスメントにあたるが、悪意があったとは言えない。ハラスメントとの気づきを与えられなかった全ての責任は劇団にある」と、これまでの会見と同様の説明を繰り返した。

 歌劇団所属演出家のハラスメント疑惑について女性株主は「報道後も劇団内外で演出を続けている。防止も大事だが、起きてしまった時にどう手を打つのか」質問。大塚専務は「ハラスメントの報告があれば本人や関係者に丁寧な聞き取りを行って対応している」と答えるにとどめた。

 別の女性は総会冒頭にあった嶋田社長の再発防止の決意表明について「決意は誰でもできる。それを信じるしかない。その後の持続、実行を頑張ってほしい」と激励した。

 HDの女性役員の少なさを問題視する声も多数あり、「歌劇団でも理事長を女性にするべき」などの意見もあった。終盤、男性株主から「株主も宝塚問題に対して一定の襟を正すことが妥当」との声もあり、総会に提案された期末配当を減額するよう求める修正動議が出たが、否決された。(小尾絵生、大島光貴)

【宝塚俳優急死問題】昨年9月末、宝塚市内で宝塚歌劇団宙組所属の俳優女性が死亡しているのが見つかった。兵庫県警は自殺の可能性が高いとみて捜査。遺族は歌劇団側に謝罪と補償を求めた。今年3月末、歌劇団側は上級生らによるパワハラ行為が女性の「多大な心理的負荷」になっていたと認めて謝罪し、合意書を締結。昨年10月から公演を中止していた宙組は6月20日に公演再開予定。