昨年の漁解禁日、イカナゴのシンコが次々に港に届けられた=2023年3月4日、姫路市白浜町の妻鹿漁港
昨年の漁解禁日、イカナゴのシンコが次々に港に届けられた=2023年3月4日、姫路市白浜町の妻鹿漁港

 兵庫県水産技術センター(明石市)は19日、県内3海域(播磨灘、大阪湾、紀伊水道)での今年のイカナゴのシンコ(稚魚)漁について、「漁獲量が激減した2017年以降の不漁年の中でも最も厳しい漁模様が予想される」と8年連続の不漁予報となった。同センターは、漁業者らに「本当に危機的な状況。資源を最大限残すことを考慮した取り組みを検討してほしい」と呼びかけている。

 県内3海域で昨年12月上旬~今年1月下旬に行った親魚や稚魚の調査を基に予報した。

 調査によると、推定産卵量は昨年の約半分で直近の10年間で3番目に低い。平年値と比べても20分の1程度にとどまった。1地点当たりの稚魚数は播磨灘で昨年比の18%、大阪湾で17%、紀伊水道で17%といずれも大きく減った。

 シンコ漁は、例年2月末~3月上旬に解禁。日程は、漁業者が試験操業した結果を基に自主的に決める。県内のシンコ漁はかつて1万~2万トン台の水揚げがあったが、17年に前年比91%減の1001トンに激減。その後は極端な不漁が続き、22年の漁獲量は1665トン(速報値)、23年は1209トン(同)と低迷している。

 漁業者は資源保護のため、1カ月余りあった漁期を数日~約20日に短縮する対策を続けている。

(三宅晃貴)