神戸市内で2023年、ホテルや旅館に宿泊した人は約629万人と、新型コロナウイルス禍前の19年比99・0%まで回復したことが、神戸観光局のまとめで分かった。国内客は約570万人で同1・6%の増加。一方、インバウンド(訪日客)も回復基調にあるものの約58万人で同21・2%減と、1・8%増だった全国の勢いとは差が見られた。
17年12月の同局発足以来初めて「年間リポート」としてまとめた。同局は、神戸市のほか、兵庫県や周辺市町、企業などで組織し、神戸やその周辺部の観光振興を担う。観光庁などの公的調査をベースに、独自調査や試算も合わせて神戸の観光を分析した。23年を「コロナ禍からの復活の1年」と位置付け、市内観光業者の事業評価に役立ててもらう狙いで作成。来年以降も毎年まとめる予定という。
23年は、5月に新型コロナ感染症が5類に移行するなど国内観光が正常化に向かった。宿泊客数(推計)を月別に19年と比べると、国内客は1、4、8月をのぞく各月で増えた。訪日客は1月は45・8%と大きく下回っていたが徐々に回復。12月には2・6%増と、月別で唯一、19年を上回った。
さらにリポートは兵庫、大阪、京都の3府県別に訪日宿泊客の国・地域別の内訳に言及。各府県とも東アジア諸国が多かったが、1位は、兵庫が台湾で20・6%、大阪が韓国(22・9%)、京都は米国(14・7%)だった。神戸市内の三宮、北野、新神戸駅の観光案内所で窓口対応した訪日客も台湾が最も多かった。
同局の推計によると、24年1~3月の神戸市内の延べ宿泊者数は19年比約1・1倍、インバウンドは約9割と前年からの回復基調が続く。同局の調査担当者は、全国より遅れるインバウンドの回復について「東アジアからのリピーターなど、『神戸のお得意様』をしっかりと見極め、商品開発につなげ、しっかり取り込んでいきたい」とした。(広岡磨璃)