兵庫県は、海の植物が吸収する炭素「ブルーカーボン」の可能性を探る有識者委員会の2024年度初会合を県庁で開いた。大学教授や漁業関係者ら4人の委員が、昨年度に続いて県内ノリ養殖での二酸化炭素(CO2)吸収量の算出方法や乾ノリ製造工程の省CO2化について話し合い、「兵庫のり」のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)化案が示された。
水産資源の保護や漁業振興、脱炭素化につながる「豊かで美しい海」の実現を目指す官民の「ひょうご豊かな海づくり県民会議」の一環。
藻場や干潟などの海洋生態系に取り込まれた炭素は、森林の「グリーンカーボン」に対し、「ブルーカーボン」と呼ばれ、温室効果ガスを吸収するための新たな選択肢として注目されている。
昨年度は1回開催され、CO2が海底や海中に貯留する量(固定量)の算出方法などについて話し合った。本年度は引き続き議論を進めるとともに、カーボン・ゼロ化した兵庫のりの商品化とプロモーション戦略などについても議論する。
今回の会合では、森林保全活動の成果で生じるCO2吸収量を購入してノリ生産でのCO2排出を相殺する「カーボンオフセット」を利用したCO2排出ゼロのノリについて、事務局側が説明。委員からは「森は夏、ノリは冬に多くCO2を吸収する。年間を通じて環境に貢献するという兵庫の新しいモデルとしてPRできるのでは」などの意見が出た。
有識者委では来年2月にも会合を開き本年度中にCO2貯留量算定の「兵庫モデル」を取りまとめるとともに、兵庫のりを環境に優しい特産品としてブランド化していく予定。(三宅晃貴)