コメ卸大手の神明ホールディングス(HD、神戸市中央区)は29日、農地に太陽光パネルを設けて農業と発電を両立させる「営農型ソーラーシェアリング」に取り組むため、農業法人の舞台ファーム(仙台市)と業務提携を結んだ。舞台ファームの水田で来年から同シェアリングの実証実験を実施し、ノウハウを蓄積して全国に広げ、生産者の収入増につなげる狙いがある。
同シェアリングは農地に支柱を立て、上部の空間に太陽光パネルを並べる。パネルの隙間から日光が差し込む構造とし、パネルの下で農作業をする。
舞台ファームはコメや野菜の生産を手がけ、カット野菜はコンビニ大手などに納めている。宮城県美里町で約5・1ヘクタールの大規模なレタス工場を運営するが、電気代がかさむことが課題で、工場隣の水田で同シェアリングをしようと構想した。これに神明HDが共感し、提携することにした。
約3・9ヘクタールの水田に同シェアリングの施設を整備し、来年2月に完成する予定。「コメの出来に響かない太陽光パネルの量はどれぐらいか」や「パネル設置後も農業機械を使えるか」などを検証する。得られた電力はレタス工場で使う電力の約78%を賄えるという。
神明HDの藤尾益雄社長は神戸市内で開いた会見で、農業がもうからないことが生産力の衰えにつながっているとの問題意識を示し、「生産者の副収入になる仕組みに関心を持ち、エネルギー事業への参入を決めた」と話した。(長尾亮太)