火入れから8日目の朝、窯出しされる「一庫炭」=川西市黒川
火入れから8日目の朝、窯出しされる「一庫炭」=川西市黒川

 人が守り育て、利用する薪炭林が息づく川西市北部の黒川地区で、特産「一庫(ひとくら)炭」の生産が始まった。火入れから8日後に行われる窯出しの朝、およそ750度の高温で焼き締められた黒炭が乾いた音を響かせ、次々と運び出される。(小林良多)

 同地区周辺では古くから炭焼きが行われ、一庫炭はかつて大阪府池田市などに集積された池田炭の中でも、特に品質の高さで知られたという。

 古い文献に多くの記載があり、豊臣秀吉や千利休が茶会で使ったとの伝承もある。原木を繰り返し採取できるよう仕立てられた「台場クヌギ」が健在で、樹齢100年超の大木も多い。

 同地区では唯一、今西学さん(54)一家が生業として続ける。切り出したクヌギや雑木を使い、今年は1月末から炭焼きを始めた。

 まず3日間、焼き続けた後に窯の口を閉じて空気を遮断。火を消した後、4、5日置き、ゆっくり温度を下げる。消火のタイミングは経験に頼り、出来栄えは窯を開けるまで分からないという。作業は5月まで続き、約3トンを生産する。高い品質が求められる茶道用などとして全国に出荷される。

 今西さんは、里山の現状を危機的だとし、「戦後は人の手入れが途切れ、シカの増加で若木が枯れる食害も深刻。茶道文化を守るためにも山に入り、良い炭を作り続けたい」と話した。