moonrise–stock.adobe.com

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 客から暴言や暴力、理不尽な要求などを受ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が、社会問題になっている。神戸新聞社がLINE(ライン)を通じたアンケートでどんな行為を受けたか(複数回答可)聞いたところ、「ひどい暴言」が約7割に、「同じ内容を何度も繰り返すクレーム」が約6割に上った。体調を崩したり離職したりするなど、深刻な影響を受けたケースもあった。(斉藤正志)

 ■「これやから女の店員はトロいねん」

 アンケートは双方向型報道「スクープラボ」の一環で8月下旬~9月上旬に行い、132人が回答。生々しい被害の実態が寄せられた。

 「欲しいサイズの服がないと『もっとそろえとかんかアホ!』と怒鳴る。在庫を調べていると、『さっさと調べんかいボケが!』『これやから女の店員はトロいねん』『くそ百貨店が!』と怒鳴り散らす。セール終盤になってサイズがそろっているわけないのに…」(兵庫県内の百貨店に勤める50代女性)

 「購入した商品を『お持ちのバッグに入れられますか?』と聞くと、『入るわけないやろ、謝れ!』と言われた。謝罪したが収まらず、店長が電話で複数回、謝罪した」(卸売・小売業に勤める神戸市の40代女性)

 「カスハラする人が共通して言うのは『あなたのために、店のために言ってあげてる』。このワードが出たら、気持ちを『無』にしないとかなり傷つけられる」(卸売・小売業に勤める神戸市の40代女性)

 ■中高年が迷惑行為

 受けた迷惑行為の内容は、「ひどい暴言」(67・9%)、「同じ内容を何度も繰り返すクレーム」(60・7%)に続き、「説教的な態度」(54・8%)、「脅迫・威嚇」(33・3%)、「長時間の拘束」(28・6%)の順に多かった。

 カスハラ行為者の推定年齢は、40代、70代がいずれも20%を超え、40代以上で計85・7%に。50代以上でも計63・1%に上り、中高年がカスハラ行為に及んでいる実態が浮かび上がる。

 行為者の性別では男性が64・3%、女性が31・0%だった。

 ■影響深刻「体調崩した」「離職した」

 どのように対応したか(複数回答可)を聞いたところ、「毅然(きぜん)と対応を打ち切った」が最も多い28・6%になった。

 一方で、「謝罪を続けた」(27・4%)、「何もできなかった」(20・2%)、「不当な要求と分かっていたが、受け入れた」(17・9%)も高い水準に。従業員側が対応に苦慮していることがうかがえる。

 カスハラを受けてからの影響(複数回答可)では、「嫌な気持ちが長く続いた」(88・1%)が最多。

 「体調を崩した」(26・2%)、「離職した」(8・3%)、「心療内科などに通院した」(7・1%)が一定の割合に上り、カスハラが従業員の心に深い傷痕を残していることが浮き彫りになった。

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 神戸新聞社は、読者の投稿や情報提供を基に取材を進める双方向型報道「スクープラボ」に取り組んでいます。身近な疑問や困りごとから、自治体や企業の不正告発まで、あなたの「調べてほしい」ことをお寄せください。スクープラボ特集ページ(ここをタップ)で投稿できます。皆さんと一緒に「スクープ」を生み出す場。ご参加をお待ちしています。