大阪湾とその東の低平地である大阪平野は大阪堆積盆地と呼ばれ、東を生駒山地、北を六甲山地と北摂山地、西を淡路島、南を和泉山脈に囲まれています。堆積盆地は、いわば広大な「窪地(くぼち)」です。大阪堆積盆地では、周囲の山地の岩石が川を流れ下りながら砕け、細かくなって運ばれた土砂が、一番低い大阪湾に地層として溜(た)まっていきます。堆積盆地は砂や泥で埋められていきますが、埋まる以上のスピードで窪地が沈む、あるいは周囲が隆起し続けると、窪地は維持されることになります。
大阪堆積盆地を埋めている地層の厚さはどれくらいでしょうか。地層を円柱状に掘り出して地下を調べる調査をボーリング、ボーリングにより抜き取られた地層試料をボーリングコア(略してコア)と呼びます。1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の後、都市部の地下を理解するため500メートルを超える深さのボーリングがいくつも実施されました。神戸市東灘区の沿岸部で掘削されたGS-K1コアは、その中で最も深い、地表から1700メートル近くまで掘り抜かれたもので、地下約1550メートルで固い花こう岩類の岩盤に達しています。
GS-K1コアの岩盤より上は、大阪湾が窪地になり始めた数百万年前以降に形成された「大阪層群」という、河川の周囲や湖、浅い海で溜まった地層でした。大阪層群と岩盤の境は大阪湾の中心部ではさらに深く、その深さは2千メートル以上に達すると考えられています。一方で、コアの採取地点からわずか数キロメートル北にある六甲山も、この岩盤と同じ岩石でできています。これはまさに、堆積盆地の中心である大阪湾や大阪平野が沈み続けるのに対して、六甲山が隆起してきたことを直接的に示しています。その変位は、六甲山の南麓を西南西-東北東方向に走る活断層のずれとして、地表にも現れています。
95年の兵庫県南部地震はその一連の活断層がずれ動いたことで発生し、阪神間や淡路島北部を中心に大きな被害が生じました。一方で、活断層のずれが長い時間蓄積して生じた六甲山との高低差を埋めて、山麓の平野に土砂が溜まっていきます。「宮水」と呼ばれる地下水は、六甲山地からこの砂の層に浸透し、比較的短い時間で井戸のある沿岸部に流れてきます。この過程で宮水は、鉄分が少なくリンを多く含むなど、日本酒造りに適した地下水となります。このように大阪堆積盆地の形成は、大きな災害を引き起こす要因となるとともに、私たちの生活に恵みを与える役目も担っています。























