昔ながらの製法で、にがりの残った塩に仕上げる「平釜」=赤穂市坂越、赤穂化成(撮影・辰巳直之)
昔ながらの製法で、にがりの残った塩に仕上げる「平釜」=赤穂市坂越、赤穂化成(撮影・辰巳直之)

 湯気が立ち上る浅い釜に、真っ白な結晶が花のように浮かび上がる。くわに似た木製の道具で引き寄せると、「ジャリ、ジャリ」という音が響き渡った。

 平釜(ひらがま)で海水を煮詰める伝統製法で作られる自然塩。赤穂市では製塩化学品メーカー、赤穂化成(同市坂越)が製造する。にがり成分の残るまろやかな味わい。「塩の国」赤穂の歴史が、この味に詰まっている。