感謝状を受けた一橋省二さん(中央)と明美さん夫妻=福崎町福崎新、中播消防署
感謝状を受けた一橋省二さん(中央)と明美さん夫妻=福崎町福崎新、中播消防署

 真冬の未明に起きた民家火災の現場で初期消火に協力し、被害を最小限にとどめたとして、中播消防署(兵庫県福崎町福崎新)は、同県市川町の一橋省二さん(66)、明美さん(67)夫妻に感謝状を贈った。火災に対する知識と日頃からの備え、息の合った連携が奏功した。

 2月3日午前4時40分ごろ、地域の民生委員協力員を務める明美さんの携帯が鳴った。近くに住む50代女性の親族からで、「(女性宅で)火事が起きているかも」と相談を受けた。

 明美さんは省二さんを呼び、暗闇の中、パジャマ姿で女性宅へ向かった。女性は家の外に出ていて無事だったが、窓からオレンジの炎が見えた。

 省二さんが屋内に入ると、煙が充満していた。頭の中が真っ白になったが「はよせなあかん」と周囲を見渡した。畳の上で石油ファンヒーターの給油管が燃えており、屋外に蹴り出した。台所の水で部屋の消火を試みたが太刀打ちできず、明美さんに自宅に備えていた消火器を持ってくるよう頼んだ。

 省二さんは元刑務官。職場での定期的な訓練で、消火器の扱いは慣れていた。周囲にも指導してきた。消火器では「火の根元を狙う」という知識が生き、消防署員が到着するまでに火をほとんど消し止めた。

 同署であった感謝状贈呈式で、林昭良署長は「出遅れれば全焼の恐れがあった。勇気ある行動に感謝」とあいさつ。省二さんは「妻の動じない姿に感心して冷静に動けた。女性が無事でよかった」と話し、明美さんは「ちょうど倉庫を整理した後で、すぐに消火器が取り出せた。それ以来、周りの人にも備えの大切さを伝えています」と語った。(喜田美咲)