自治会館の一室にお年寄りたちの明るい歌声が響く。男女20人ほどが集う歌謡サークル「コーラスほたる」で指揮者を15年にわたって務める。メンバーの平均年齢は80歳を超える。みんなで輪になり顔を見合わせながら「なごり雪」「シクラメンのかほり」などの懐かしい曲をソプラノとアルトの混声で合唱する。
宍粟市は毎年春に合唱祭が開かれるなど、コーラスが盛んだ。中学校の音楽教師を約30年務め、51歳の時に退職した。以降、その経験を買われ、地元の婦人会や老人会など、地域のいくつかの団体でタクトを振ってきた。
メンバーとともに歌うだけでなく、曲の大事なところを五線譜に書き出して指導する。ときには長調や短調など音楽理論も教える。指揮者とメンバーが息を合わせながら、歌を通じた憩いの場がつくり上げられていく。
「みんな、ものすごく熱心。私は行って歌うだけ。楽なんです」。次第に上手になっていく仲間たちを見守るのが、長く活動を続けてこられた理由だ。そして何より、歌をみんなで歌う時間が好きでたまらない。
3年前、病で手術を受けることに。夢の中で二部合唱の歌声が聞こえ、仲間の顔が浮かんできたという。「あれから不安がなくなりました。歌のおかげで幸せです」
今は年に1度、オカリナや大正琴のクラブとの交流会に向けて練習を重ねる。「メンバーも減り、発表の場も減ってしまったけど、次の発表会へと、時間を重ねられたらうれしい」(成 将希)
























