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 文部科学省は31日、小学6年と中学3年の全員対象で4月に行った2023年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。4年ぶり実施の中3英語は4技能のうち「話す」の全国平均正答率(国公私立)が12・4%にとどまり、前回より18・4ポイント下がった。「読む・聞く・書く」の3技能は46・1%で、前回比10・4ポイント低下した。

 21年度から実施されている中学の学習指導要領は、英語で互いの考えを伝え合う言語活動を重視し、出題に反映された。文科省は「テストが難しかった。生徒の英語力が低下したとは判断できない」と説明。「話す」で一つも正答できない生徒が6割を超え、専門家には、指導要領が高度すぎるとの指摘や作問が適切ではなかったとの見方がある。

 英語「話す」は、環境保護に関する動画を視聴して自分の考えを英語で話す設問など全5問。約500校を抽出して成績を集計し、文科省は推計値として扱った。それ以外は全員分を集計した。

 毎年実施する他教科の正答率は小6が国語67・4%、算数62・7%。中3が国語70・1%、数学51・4%。例年と同じく、複数の資料を読み解いて答えたり、意見を書いたりする問題が苦手な傾向が出た。国数の都道府県別正答率(公立)は、秋田、東京、石川、福井などが上位だった。

 兵庫県内の平均正答率は小6が国語、算数ともに全国平均(公立)と同じ。中3は国語が全国平均を1ポイント下回った一方、数学は1ポイント上回った。神戸市内の結果は小6が国語、算数ともに全国平均を2ポイント上回り、中3は国語が2ポイント下回ったが、数学は1ポイント上回った。

 英語は、3技能のうち「読む・聞く」は正答率が50%を超えたが、「書く」は24・1%と低調。文章の要点を捉えて自分の意見やその理由を記述する設問では、正答率が20・1%にとどまった。「話す」はデジタル端末で動画を見る形式。5問のうち正答率が4・2%の設問もあった。

 文科省は英語3技能の都道府県別正答率なども公表。東京や神奈川、愛知といった大都市圏が上位に目立った。兵庫、神戸はいずれも全国平均を1ポイント上回った。