ルッキズムという言葉が広がっています。外見に基づく差別や偏見のこと。最近では「見た目で人を判断すること」「容姿に言及すること」など多面的な文脈で使われています。ルッキズムに対する考えや容姿を巡る体験談をアンケートで募ると、さまざまな回答が寄せられました。その中からいくつか紹介します。※回答は一部要約、省略しています。ご意見や体験談は、随時こちらで募っています。
□マスクを外すのが (40代女性)
今までは初対面の人に話しかけても、にこやかに返されることは少なかったのに、マスク生活になってから愛想よく返してもらえることが多くなった。マスクをしていて素顔がわからないからだと思う。人は相手の容姿で対応を変えているということを実感した。逆にこれからマスクを外すのが怖い。
□汚い顔と言われ (20代男性)
ニキビが体質的に多くて顔に出やすいです。中学の時に「不清潔」「汚い顔」と同級生から言われたり、先生方からも「ひどいなー」と笑いながら言われたりしたことはありました。距離が置かれることも多々ありました。仕方ないことですが、少し不愉快になったり辛かったりしました。また、大学でも同期や先生方にも場所を問わず言われ…。いろんな人がいるってことを理解してほしいとは思いました。
□娘と息子に思う (50代女性)
私は高校生(女子)と中学生(男子)の子どもがいる主婦です。高校生の子は、やはり見た目をすごく気にしています。お金をためて整形したいとよく言っています。SNSに投稿するとき以外でも、普通に写真を撮るだけでも写真の加工はしています。そんなことをしなくても十分かわいいと言っても全く聞きません。中学生の子は男の子だからか、そこまで写真については何も言いませんが、二人ともマスクを外すことにすごく抵抗があるようです。コロナでマスクをするようになり、かなり見た目にこだわるようになった感じはします。
□顔で損をしてきた (50代女性)
私は顔が不細工なほうなので、顔で損をしてきたと感じますが、人により好き嫌いがあるのは仕方ないことと悲しいながらもあきらめ、他人に不快感を与えないように小ぎれいにすることは心がけています。仕事をしてる人は男性ならひげをそる、女性なら必要最低限の化粧として眉毛を描き、周囲の人に小汚い印象を与えないような配慮は、ルッキズムはダメと言われても必要だと思います。
□面接で得をしてきた (60代女性)
自分の容姿は好きです。面接で得をしてきたので親に感謝しています。
□いまだにうらやましい (50代女性)
客室乗務員やアナウンサーになる夢があったけど、容姿端麗という条件があったか、暗黙の了解でそういう壁が存在していたか、姉に私の顔では無理と言われあきらめました。もし何かのまちがいで採用されたとしても、まわりが美しい人ばかりだと仕事はこなせてもずっとコンプレックスを感じていたかもしれない、と思ってしまう自分もいます。そんなこともあってか、見た目のいい人はそれだけでまずポイント稼げるなあといまだにうらやましいです。
□お母さんは美人なのに (40代女性)
自分は母に似れば美人だったが、父に似た。父は切れ長な一重で、若い頃は百貨店の看板にのるような、当時の男としてはいけてたのだろう。だが娘としてはガングロ一重は短所だ。早く嫁にいかないと行き場がなくなると言われ22歳で結婚。「お母さん美人だね」「お母さんは美人なのにね」と嫁ぎ先の親戚からはっきり言われたこともある。数十年がたち、その親戚たちも先に他界していく。私は切れ長がだんだんと垂れてきて垂れ目に。数年前からのコロナ禍だが、目はマスクでも隠れない。いくら口元で笑ってても目だけ出るわけで、そこで顔を判断されるのだと思うと、マスクなしでもよくなった今、口角を上げ笑顔いっぱいで人と接するおばさんになろうとがんばってる。
□女性の靴のサイズ (30代女性)
基本背が高くてガッチリしているので、他の女の人と区別して考えられているな、としょっちゅう感じます。あと、靴のサイズも26センチだとないものが多いので、女の人の靴のサイズも偏見をもとに作らないことにされていると感じます。アメリカに住んでいた間は、標準よりも少し小さいくらいだったので余計に敏感になっていると思います。
□新聞社も共犯 (60代男性)
新聞広告に掲載されているキャッチコピーの数々に踊らされているとしたら、新聞社も共犯。その罪は重いです。
□子どもには一大事 (50代女性)
子どもの頃は悪気なくかけられる言葉に傷ついて、それが気になって仕方なくなり、それまで考えたことのなかった自分の顔のパーツにコンプレックスを急に抱くようになってしまう。私はおでこが少し広く、幼い頃は祖父や祖母から「賢そうな顔やね」と言われていたが、小学5年生の時にクラスの男子から「デーコーデーコー」とすれちがうたびにからかわれるようになり、おでこが広いことは恥ずかしいことなんだ、と思うようになってしまった。おでこを隠すために前髪を気にした。気にしすぎておでこにニキビができた。またニキビをからかわれた。今となっては「ソレがどぉしたの?」で済んでしまうことが、子どもにとっては一大事…。
□ずっと小柄で (50代男性)
私は幼少期から小柄なんで、ずーっとチビと言われてます。チビ・デブ・ハゲにならないように気をつけてます。デブだけは努力でなんとかなりそうです。
□結婚相手には (40代男性)
自身の容姿に不満はありません。両親に感謝します。結婚相手には容姿を重視した方がよかったと後悔してます。
□どちらも良ければ最強 (50代女性)
何だかんだ言っても、やはり見た目のいい人は人生得することはあっても損することなんてないと思います。何も知らない状態では、まずは第一印象は外見ですから。学生時代の友達や同じ職場、趣味のサークルなど、回数や時間を重ねて付き合って性格が分かれば、私は見た目など気にならなくなります。でも浅い人間関係ではやはり見た目で扱いの差を感じることはよくありました。私は子どもの頃からぽっちゃりしていて顔もエラが張っていて、イジられることもありました。短大の時、仲良くなったグループがたまたま私以外はすごく美人で、嫌というほど周囲との格差を感じました。友達は美人だけどとても性格のいい子たちで、全く嫌みや高飛車なところもなく、話しやすくて普通にいられました。ぽっちゃりはダイエットして標準体形にはなれても顔はどうすることもできないし。今はSNSなどでメークの情報も豊富ですが、30年前はまだそんな風ではなかったので。ただ性格は悪くならないように努力はしてきたつもりです。人の悪口を言わないことや、できるだけ人間関係が円滑にいくように心がけてきました。結局のところ付き合っていけば性格が一番です。どんなに見た目が優れていても性格がダメなら付き合えませんから。私はですが。でも性格が良くて外見も良ければ最強だと思います。
□口に出さないだけ (60代男性)
ルッキズム、口に出さないだけで誰もが思考していると思う。考え方は良いが本能的なものをコントロールできることはないと思う。
□この顔に産んでくれて (40代男性)
若い時は老け顔だったが、いずれ実年齢と逆転すると思っていた。40歳を過ぎると若く見られるようになった。一重まぶたでも鼻は高いし自分の顔が好きです。何よりもこの顔に産んでくれて、この顔を愛せる価値観に育ててくれた親に感謝しています。
□世間ではそうはいかない (70代男性)
人を見た目だけ判断するのは良くないと言われ同意ですが、世間ではそうはいかないのが現実です。