ルッキズムという言葉が広がっています。外見に基づく差別や偏見のこと。最近では「見た目で人を判断すること」「容姿に言及すること」など多面的な文脈で使われています。ルッキズムに対する考えや、容姿を巡る体験談をアンケートで募ると、さまざまな回答が寄せられました。その中からいくつか紹介します(回答は一部要約、省略しています)。
ご意見や体験談は、随時こちらで募っています。
■傷つけるために言った
更年期に入って太り始めました。あいさつがわりに「太ったな」と言う義姉がいて、法事で会うのが本当におっくう。でも、口答えせずに笑って気にしてない風を装っている自分のことも嫌です。子どもの時、妹に容姿のことを言って泣かせました。今まで思ってても言わなかった言葉が、ケンカで口から飛び出してしまった。明らかに妹を傷つけるために言ったんです。すぐに後悔しましたが、言った言葉は消えず、押し入れに閉じこもって泣き続ける妹にひたすら謝り続けました。苦い思い出です。(60代その他)
■髪を褒めたら
女性の髪について、きれいな髪艶だと褒めたらウィッグでした。その方は、薬の副作用で髪が抜け気にしていたらしく、私はそれ以来(他の人に対しても)容姿などを話題にしなくなった。(60代男性)
■私はちびでのろま
私は年子の女で、姉は背が高く、成績も良く、運動もでき、目のパッチリとした何でもできる人でした。私は、ちびでのろま。片方の目が内斜視です。いつも姉の陰にいたように思います。ところが、転居して一流高校に入ってから、自信がついて性格がとても明るくなれたので良かったです。(70代女性)
■アルバイトの面接
学生時代、カフェが併設されているケーキ屋にアルバイトの面接に行った。店頭での接客を希望していたが、あなたはカフェでお願いと言われた。店頭に立つ女の子達はカフェで働く子達に比べて「見た目の良い女の子」ばかりだった。カフェのほうが接客、洗い物など仕事が大変だった。ケーキを買いにきてショーウインドーの向こうに「ブスがいたんじゃあね」とかあからさまだった。大人が自分の稼いだお金でする整形は否定しないが、子供に親が整形をすすめるのは疑問だ。整形前の子供の顔が「ダメだ」という価値観を植え付けてしまう。(50代女性)
■笑いのネタ、ストレスで入院
小さな頃から中学生半ばまで太っていました。小学高学年から中学では、ひどいからかいとイジメにあいました。中学では教師も一緒になって笑いのネタにされました。今ならニュースになると思います。中学2年で精神的ストレスから消化器官の潰瘍で入院。痛みの辛さよりこれで学校に行かなくてよくなったとホッとしたのか、入院当日からそれまであった激痛がなくなりました。幸い治り、病気のおかげで10キロ以上痩せ、以後体形でイジメられることはなくなりましたが、今でもあの時の辛さ、孤独感を思い出す時があります。(50代女性)
■二重整形のきっかけは
昔から容姿に対して劣等感があった。劣等感が保身に変わって容姿をネタにして笑いにしていた。でも実は自分の容姿をそこまで嫌でもなかった。20年前、全く親しくもない男性から「目が一番イマイチ」と言われた。それがキッカケで二重整形をした。結果としては良くも悪くも後悔も特にない。ただ、自分がしたくて前向きな気持ちでしたわけではなく、私自身のことを深く知りもしない他人の言葉に影響を受けて実行した自分自身に腹が立つ。(40代女性)
■それなりの苦労が
中高生の時、ある芸能人に似ていたことでねたまれたり、他校の同性のヤンキーに絡まれたりしたので、顔がいい方にもそれなりに苦労があると思う。(40代女性)
■法制化で罰則を
傷つける側を問題にすべきで、罰則を設ける法制化を検討するのが穏当。(60代男性)
■親として何も力になれなかった
私の娘はくせ毛で、それを小学校中学年頃からやゆされました。25歳になる今でも、どんなに髪の毛が痛もうと、やけどしようと、ヘアアイロンで髪の毛を伸ばしてからではないと家から出られません。女の子に多い(これは思い込みかもしれませんが)同調思考で仲間外れにされてました。学校には行かないといけないと思い込んでいた娘は、朝を迎えることがとても毎日つらかったと言います。楽しんでいいはずの子ども時代をこんな気持ちで過ごすより、学校に行かないを選択したら良かったと今では思います。親としても何も力になれていなかったことを、大人になった娘から聞くのは大変つらく申し訳ない気持ちです。取り返しはつかないですから。(60代女性)