神戸地裁=神戸市中央区橘通2
神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 適応障害になり勤務先を休職したのは研修でのパワハラが原因として、兵庫県内の50代女性が、労災を認めず休業補償給付を「不支給」とした加古川労働基準監督署の処分を取り消すよう求めた訴訟の判決で、神戸地裁(島岡大雄裁判長)は1日、処分は違法と判断し、取り消した。「疾病は業務上の事由によるもの」として労災を認めた。

 判決によると、女性は2012年に眼鏡販売などを行う県内の企業に入社。15年10月、新店舗の店長になるための研修として別の店舗に異動し、研修の指導者から「幼稚園児以下の頭の悪さしかない」などの言葉を浴びせられたり、すれ違いざまに足を踏まれたりした。

 同年12月に適応障害と診断されて休業し、16年8月に加古川労基署に休業補償を請求したが、「業務による強い心理的負荷があったとは認められない」などとして不支給に。女性は20年に今回の行政訴訟を起こしていた。

 判決は、原告女性に対する研修の指導者の言動を「人格や人間性を強く否定する発言を執拗に行っていた」と指摘。国の精神障害の認定基準に照らし「心理的負荷の強度は『強』だと認めるのが相当」とした。

 加古川労基署は「判決文が届いていないのでコメントを差し控える」とした。