阪神・淡路大震災以降で欠員数が最多となった兵庫県の民生委員。住民の高齢化で対応案件は増える一方だが、民生委員自身の高齢化も進み、なり手不足も重なって現場からは悲鳴が上がる。能登半島地震の被災地では地域の高齢化に伴う課題が浮き彫りとなっており、危機感は募る。
中田裕康さん(74)=神戸市長田区西尻池町=は1995年の震災時、40代半ばの民生委員だった。現在は長田区民生委員児童委員協議会会長を務める。
あの日、激しい揺れでタンスの下敷きになったが、なんとか外にはい出た。ライトを照らすと、目に見える範囲の家々がほとんど倒壊していた。
中田さんは、お年寄りの安否確認に走り回り、生き埋めだと分かると、近くにいた若者と一緒にがれきに向かって声を掛け、助け出した。「次の倒壊、次の倒壊…で、何人救出したかは定かじゃないが、気が付けば手は傷だらけ、血だらけだった」