小学校の体育館を借りて行われた珠洲市立三崎中学校の入学式。祝福の花が新入生7人を迎えた=4月5日、石川県珠洲市三崎町(撮影・長嶺麻子)
小学校の体育館を借りて行われた珠洲市立三崎中学校の入学式。祝福の花が新入生7人を迎えた=4月5日、石川県珠洲市三崎町(撮影・長嶺麻子)

 能登の人にかけたい言葉は-。記者の問いかけに、阪神・淡路大震災で長男=当時(21)=を亡くした女性(76)は答えた。「ないです。何を言っても、慰めにはなりません」

 その目には深い悲しみ。ただ、と女性は少し表情を和らげて続けた。

 「ひたすら抱き締めて、背中をなでてあげて、大丈夫という気持ちを伝えたいかな。あったかい飲み物を飲ませてあげて…」

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんだ自分が、かつてカウンセラーにそうしてもらったように。人を救うのは人のぬくもり。そう思う。

 阪神・淡路で注目された被災者の「心のケア」。各都道府県に災害派遣精神医療チーム(DPAT)ができるなど体制づくりが進み、能登にも派遣された。

 兵庫県立ひょうごこころの医療センター(神戸市北区)の副院長、青山慎介さん(53)も1月8日から1週間、石川県輪島市などで活動した。