兵庫県議会から不信任決議を受けた斎藤元彦前知事(46)の失職に伴う知事選に、経済産業省の元官僚中村稔氏(62)が1日、立候補する意向を表明した。同日に自民党県議団と面談しており、自民は支援するかどうか検討を続ける。中村氏は「政党や各種団体に支援をお願いするが、(その有無にかかわらず)強い決意で臨む」と述べた。
10月31日告示、11月17日投開票の知事選には、9月30日付で失職した斎藤氏が出馬を表明し、前尼崎市長の稲村和美氏(51)も立候補の意向を周囲に伝えている。共産党県委員会などでつくる政治団体は、無所属新人で医師の大沢芳清氏(61)の支援を決めている。
中村氏は広島市出身で、灘中・灘高(神戸市東灘区)を経て東京大法学部を卒業。1986年に旧通産省に入省し、経産省近畿経済産業局の総務企画部長などを務めた。2006年度から3年間、兵庫県にも出向し、産業振興局長や産業労働部長を歴任。20年に経産省を退官し、パソナグループ顧問を経て、現在は兵庫県立大客員教授などを務める。
自民との面談後に報道陣の取材に応じた中村氏は「11年間住んできた兵庫県は育ての親で、恩返しがしたい。分厚い産業構造と地域資源は宝の山でもあり、これを生かしたい」と強調。知事らの告発文書問題を受けた県政の混乱にも触れ「非常に残念。何とかしたい思いが強くなった」と述べた。
知事選を巡っては、自民は独自候補の擁立を模索しているが、稲村氏支援を主張する議員もおり、意見がまとまっていない。公明党は自民と協調する方針。日本維新の会は独自候補を擁立する方針で、連合兵庫の推薦を受ける県議らでつくる会派「ひょうご県民連合」は個々で稲村氏を支援する方向を確認している。(前川茂之、岩崎昂志)